連続誘拐と殺人を繰り返す悪魔のような男・結城美智夫と、彼を愛しながらもその残虐行為を苦悩する神父・賀来巌。結城は自分の勤める銀行の支店長の娘・美穂を誘惑して殺し、遺体の始末を賀来に手伝わせる。殺人の事実を隠して社会を欺き、徐々に出世してゆく結城だが…
MW(ムウ)のレビューが0 件あります
レビューを投稿する31件のネット上の評価があります
-
100
cmoa
この作品に出会ったとき高校生でしたが、幼いころアトムで純粋に涙した私には、もー、青天の霹靂な手塚作品でした ビアズレーの版画を効果的に使用したSEXYな演出とか、骨太でスリリングなストーリー展開とか、マンガの枠を超えてますベトナム戦争時に開発された毒ガスMWが、偶然出会った2人の運命を対極へ引き裂き、引き寄せてゆく。男色、殺人、獣姦・・・・と、背徳的な罪の限りを尽くす美貌のオトコ結城 彼の魂を救うためとか言いつつ、複雑な愛憎ゆえに離れられない神父、賀来 悪魔的な結城と、非常に人間臭い(偽善的で誘惑に弱い)賀来、この2人の濃厚なドラマに政治や金が絡み、まるでよーく練られた脚本のフィルム・ノワールを1本観たような気にさせられます 結城役に玉木宏さん& 賀来役に山田孝之さんで2009秋に映画公開とのコトですが、男色バリバリなシーンはどーするのかしら? 玉木の結城役じゃ色気と凄みに欠ける気がするし、山田君の賀来役カワイすぎではナイかしら? 人間の業と善悪を鋭く突き詰め、世に問いかけた異色の手塚作品、日本映画界がドコまで思いきった演出するか、見モノですね ハリウッドでリメイクあるなら、結城にキアヌ賀来にコリン・ファレルってトコでしょうけど、どんな俳優が演じても、結城の涙の切なさは出せない気がします ラス近く、悪の権化が1瞬ダケ流した涙が、この作品中、唯1の純粋な『愛』ではないでしょうか? 原作は間違いなく、時代を超えて名作中の名作、いえ、傑作です
-
100
cmoa
手塚先生…同性愛、人間のドロドロ書けたんだ。というのが正直な感想です
手塚先生のキャラクターって嘘がない程度に真っ直ぐで明るいキャラクターが多くて、万人受けするストーリーとキャラクターを描く漫画家さんだと
この作品を拝見するまで思い込んでましたが…
改めて天才と言われる由縁を
目の当たりにした心地です
絵柄からも、解るほどに匂い立つ結城の色気と
賀来の弱いという意味での人間臭さ
純粋に恋愛という意味ではなかったかもしれない…形は違っても、お互い相思相愛だったんだなと
賀来の最期の選択と結城の涙が
それを証明してるようでなりません
非常に悲しい形ではありますが…
ストーリーとしては、決して荒唐無稽でもなく、現実として有り得る話だと思います。
国民を欺くために
国家単位で国民に対して隠蔽工作をはかる事は、過去に遡れば…太平洋戦争真っ只中の旧日本軍の情報操作しかり
前例はあります。
何が正しくて、何が間違いか
間違いを犯しても、裁かれるのは
隠蔽出来る立場にあるか
ないかだけの違いなのか?
青春時代が太平洋戦争真っ只中だった、生き証人…手塚治虫だから
描けた傑作だと思います。
イチオシが最高5しかないなんて…
素晴らし過ぎて、評価つけること自体
恐れ多いです
パック買いしても後悔はしないです。素晴らしい作品に巡り合わせてくれた
シーモアさんに感謝します -
100
cmoa
結城の中に見える、悲惨な体験が人間の精神(心)に及ぼす影響の凄まじさ。
ベトナムや湾岸戦争、大東亜戦争の兵士達が、帰還後、戦場での記憶に苦しめられ、精神が崩壊してしまったというのを思い起こしました。
結城の場合は、そのショックと自分の命と健康が理不尽に奪われた事に対する怒りを、自分を傷つける方向ではなく、外部に向けているように見えます。
直接、自分を傷つけた人達だけでなく、そういった犠牲について、薄々気づいていながら、見て見ぬふりをしている社会や、こういう兵器を開発してしまう、人間存在そのものが嫌いなのでしょう。
賀来の行動は、賛否があるかと思いますが、幼い頃の結城が、他人の安否を気遣う、心の優しさを持っていた事、美しい物事に感動出来る感性がある事、抱き締めた時の体の温もり等、結城の人間らしい所を知っているから、見放せないのでしょう。
結城は、賀来が神父だから、自分を殺せないのだと言いますが、神父ではなくても、殺せなかったと思います。
いや、心底では、気づいていたから、賀来が死ぬのを止めたのかも?
気になるのは、結城のその後。
命の期限が迫っている中、ますます手に入り難くなったMWを追い求めるのでしょうか?
兄も賀来も居なくなり、死ぬ最後の時に、結城は何を思うのか?
心優しい人程、悪魔になってしまう点等、浦沢直樹さんの「モンスタ-」に繋がっているのでは?と個人的に思います。 -
100
cmoa
同性愛、猟奇殺人、狂気。MWと言われる毒ガスによって破滅していく物語。MWのせいで脳が変貌した結城は、今だとサイコパスのシリアルキラー?
話はいきなり誘拐殺人からスタート。子供の死んだ顔がインパクト大。待ったなしの容赦なし。
賀来は罪を重ねる結城を迷い苦しみながらも止められず、一蓮托生状態。おまけに最後は……。
結局の所、賀来は憎む以上に結城を愛し、そして結城が涙を流したのは、自身にとっても賀来が唯一の存在だったから……かと思いました。
連載は1976年頃ですが、毒ガス事件や大量殺戮等、今でもいけそうな内容。国会の答弁は昔も今も全く変わらないと実感。
しかし天才的な変装、大量殺戮しているのに上手く行き過ぎなど、少々ご都合的で展開が早すぎる印象もあり。
澄子も何故結城を好きに……。悪の魅力?賀来も賀来で、女性の扱いは微妙ですね。
さらに主要キャラかと思った松前刑事、記者の青畑などあっさりフェードアウト。しかし終盤、目黒検事がしつこく追い詰め、結城が敗北して終わったか……と思ったら、最後の最後でいいオチ!!
それにしても、独りになった結城はこれからどうするのか……。被害者であり加害者でもある結城が人類滅亡を願うのは、本当は自分が生きることに執着しているから? -
100
cmoa
やはり、手塚治虫作品は奥が深いデス。
膨大な作品の中から、色々選んで、読んでますが、こんな作品が有るなんて…!
ゲイ、バイ、獣姦、誘拐、殺人、強盗…。
毒ガスMWの、後遺症による、狂気なのか?
まだ途中なのですが、面白いし、展開気になってしまい、このまま一気に読んでしまいそうです。
この作品、いつ頃かかれたのでしょうか?
私は、手塚治虫は予言者?と思わずにはいられないです。
何故なら、誰も考え無さそうな時代に、高速道路らしきものとか、高層ビル群を描いていたり、その作品のなかの事が、現実起ったりしているような気がします。(MWガスでは、無いけれど、都心で毒ガスまいて、無差別殺人企んだ集団も現実にあったし…)
それは、きっと社会を鋭く見つめていたからなのだと思いました。
-
100
cmoa
春先からコツコツ読み続けて、やっと読み終えました。
まず言うなら、やっぱり手塚治虫さんは凄いです。
あの時代に、こんな話を書けるなんて『天才』以外なんて呼べるだろうと。
確かに絵は古いですが、それは気にならないくらい話が凄かった。
本当に結城は悪の塊なんですね。
普通どこかに人間的な部分が出るはずなのに、結城は全くない(苦笑)
それが逆に凄いんですよ。清々しいほどです(苦笑)。
ラストも、今ではよく使われるパターンですが、当時見たら『おおー!』と思うだろうなと。
神父さんはただただ残念。でもあれからどうなったかはわからないので、もし今、手塚さんが生きていたら、続編を見たいと思ったりします。
久しぶりに凄い話の漫画を読みました。
-
80
cmoa
大昔に映画版を観て小説まで読んでいたのに、原作は未読であった。
映画も小説も記憶の彼方であるが、原作の性描写の多さには驚いた。
そしてずいぶんと社会派な色が濃い作品だったのですね。
個人的にはふたりの関係をもっとみたかった。苦悩しながらも結城に惹かれずにいられない神父と、無垢な頃に知ってしまった地獄の光景にとりつかれた男。
ふたりの救いようのない関係が落ちるところまで落ちてめちゃくちゃになって、それでも離れられないふたりの間に生まれたかもしれないものをみたかった。
ラストは衝撃的だった。こんな終わり方だったけ?
映画版をもう一度観たくなった。 -
80
cmoa
映画公開前に読んでみようとまずは10話まで読みました
映画のチラシには無い部分が多く(当たり前か)、まだ10話なのに予想を遥かに超えた内容で、ビックリしました
作品が書かれたのが結構昔なので表現や内容は時代を感じさせます…がしかし読み進める程続きが気になります
島の謎、繰り返される殺人、神父と銀行員の禁断の行為(BL?)…内容的にはR指定つきそうですね
これがどの様に映像化されるのか考えるとハラハラします
う〜ん、これぞ大人の漫画
とにかく、公開前までに制覇します
-
100
cmoa
あの手塚治虫がこう言った話を書いていたなんて、とにかくびっくりでした。天才と言われる事に納得。最初はうわぁーと思いながら読んでいましたが、いつの間にか物語にも結城のキャラにも引き込まれてしまいました。ラストの結城の涙が何とも言えずグッと来ました。皆さんのおっしゃる通り、オチは今だからこそ想像つきましたがリアルタイムで読んだ方はかなりショッキングだったと思います。素晴らしい作品と巡り会えました。明日コミックスを探しに行く予定です。
-
100
cmoa
同じMWの被害者であり生き残りである美和夫と神父。この2人。読んでいて2人で1人の現代人の内面を表わしているように思えました。
マンガを読んで書かれたのは30年ほど前の作品だけど私達の建て前と本音を極端に表わしているようなうならせる作品。
国際問題とも絡ませながら展開される社会とそして人の建て前と本音。
マンガなのにされども深い、私は引き込まれた作品。
最後はあーやっぱり…って感じ。。でした。 -
100
cmoa
以前映画化されて観に行ったのを思い出して購入。あれ?映画と違うと思いつつ読み進めました。映画とは別物だと思い、原作にどっぷりはまってしまいました。殺人シーンや性描写(同性、異性共に)ありますが、それ以上にミチオの魅力や神父の苦悩がストーリーの中で目を引きます。神父と云えど人間。殺人鬼と云えど人間。それにストーリーの規模が大きく壮大なので、キャラが濃いのが気になりません。一読してみる価値はありますよ!
-
80
cmoa
映画を観たのをきっかけに原作も読みました。映画は原作を基にしたオリジナルストーリーで別ものと考えた方がいいと思います。
手塚作品はいつもどこかに存在している一つの現実として見ています。普段の自分の生活では関わらないであろう現実を知り、考えさせられます。
この作品は主人公が徹底的に悪なのですが、それで片づけられず、いろんな人間性を見ることができます。
人間を隠さずありのまま描いていると思います。 -
60
cmoa
作者のダークサイド作品の中でも悪の中の悪。
これほど悪くえげつない主人公もいません。
普通の作品なら悪いけれど憎みきれない悪党、そしてそれに対抗するヒーローが出てくる所ですが、この作品にはそんなものは出てきません。
だってMWだから。
これがMWだもん。
そう言える程の問題作です。
展開も割としっかりしてますが、オチが作者の作品の割には安っぽいので星三つ。 -
80
cmoa
銀行マンとして、何の不足もないはずなのに…実はWMガスの影響か、心の中がダークになってしまった美知夫。
一方、同じ被害に遭いながら、聖職者として生きる賀来。
2人の姿を通して、同じ状況下、例えば戦争や災害においても、憎しみを持つかどうかは、人それぞれ異なるのかなと思いました。
読んでいくうち、美知夫にどんどん惹かれていくのが…怖かったです…。 -
80
cmoa
5割殺人シーン、3割性的描写、2割時代背景に基づく政治的描写といったグロい作品です。
しかし、同性愛ならではの深い愛と心の葛藤が描かれ、非常に人間臭い。
現代に置き換えても通用する、人間の真理をつく哲学的な内容でもあります。
結城が狂人となるにいたる経緯とラストの展開がイマイチ納得できませんが、テンポよく一気に読めて面白かったです。 -
80
cmoa
昔からこの漫画が好きで久しぶりに読み返したくなり、購入しました。
さすが手塚治虫といいうような人物描写とストーリーで、下手なサスペンスドラマや映画より見応えがあり面白いです。一度読み始めると次回のストーリーが気になって眠れなくなります…
手塚作品の中でも、「アドルフに告ぐ」や「きりひと讃歌」が好きな人にオススメです。
-
80
cmoa
内容がすごかった…
殺人が多くて酷いのが…
私は、ドラマと映画を見てからマンガを読んで、最後まで2日間で一気に読みました。
ミチオは、悪人だけど神経がおかしくなって残酷な人間になったから、少し可哀想な感じもしました。
元は、賀来神父がミチオをおかしくしたんですよね…もっと続きがあればと思います。
-
40
cmoa
玉木宏&山田たかゆき主演で映画化されるらしいので読んでみましたが途中で挫折化学兵器のガスMWのこともそうだけど誘拐や主人公がどんどん殺人するし同性愛などカナリのダーク系なお話が(T_T)今まではブラックジャックとか読んでたので全くタイプが違いすぎて付いていけませんでした
-
100
cmoa
こんなに濃い内容なのにちゃんと作り上げていて、とてもすばらしいと思います。ギャグもあったり、逆にすごく恐く感じるとこがあったり、その使い方もすごくよくできています。ほんとに神だと思います。
ただ、刑事を殺せばよいのにとか、最後のわかりやすいオチ?がちょっと残念でした。 -
80
cmoa
ドラマでエピローグ視たのでも気になって購入しました。ドラマはオリジナルだけあって原作と雰囲気違いますねそれだけにがどこまで原作に忠実かが気になります中身が濃い分、ラストが「あれっ?」って感じで拍子抜けでしたストーリーは悪の一言です
ネット上のイメージ
- 感動
- 天才
- 戦争
- 刑事
- 教師
イメージの近い作品(ランダム)
-
95 天上の弦▼第1話/母▼第2話/思い描く▼第3話/日本語▼第4話/飛行機▼第5話/鉛筆▼第6話/相川先生▼第7話/荒城の月●主な登場人物/陳 昌鉉(後の名バイオリン職人。幼少の頃はひ弱だったが、何でも器用に作り出す少年)、大善(昌鉉の母。息子を何よりも愛する人)●あらすじ/「東洋のストラディヴァリウス」と称されるバイオリンを、たった一人で作り上げた男・陳 昌鉉。1929年、彼は当時日本の支配下にあった朝鮮半島で産声をあげた。母・大善にとっては、十年待ち望んでやっと生まれた子供だったが、母乳が出ないため、昌鉉は栄養失調でやせ細っていった。思い悩んだ母は、山を越えて隣村へ“もらい乳”に行くが…(第1話)。●本巻の特徴/日本統治下の朝鮮半島で、母の愛に守られて伸びやかに育つ昌鉉少年。やがて、人生を左右することになる相川先生との出会いが…。●その他の登場人物/相川先生(昌鉉の家に下宿している日本人教師。昌鉉の担任)、成哲(何かと昌鉉につっかかる近所の悪ガキ)
-
60 マシューズ 心の叫び祖父と2人暮らし、貧しいながらも心満たされた生活を送る少年マシューズ。彫刻に目覚めた彼が、至高の美を目指す青春を描いた表題作2編。ほか、ピアニストを目指す野望家の青年を描いた『ラストコンサート』、長らく幻とされていた読み切り『ふたりぼっち』を収録した、『Dr.コトー診療所』の山田貴敏が贈る、初期傑作短編集。
イメージの近い作品(知名度:高)
-
87 七色いんこ七色いんこは芝居の代役ばかりを務める役者だが、そのすばらしい演技に、観衆も熱狂した。しかしその正体は、千里万里子刑事が逮捕しようとしている怪盗だった!!「ハムレット」を始め、演劇の名作を題材にした連作・第一弾。
-
87 Dr.コトー診療所南海の離島・古志木島(こしきじま)。医療設備もままならないその島へ、東京の大学病院にいたという、何やらわけありの外科医・五島健助が船酔いに耐えながらやってきた。だが着任初日、診療所を訪れた患者はゼロ。看護婦の星野は「この島の人達は、本当に具合が悪かったら、本土の病院に船で6時間かけて行くんです。誰もこんなとこで診てもらいたくないですからね」と言う。なんだか気が抜けてしまった健介だが、その日の夜「タケヒロが大変だ」と、友達のクニオが血相を変えてやって来た。早速タケヒロの家に行った健介は、急性虫垂炎と診断。早急に手術をしないと、命が危ない。しかし島に来る医者を信用していないタケヒロの父親は、健介が手術することを拒否。船で本土の病院へ運ぶという。