© 双葉社

ゲイアートの巨匠、田亀源五郎、初の一般誌連載作品。弥一と夏菜、父娘二人暮らしの家に、マイクと名乗る男がカナダからやって来た。マイクは、弥一の双子の弟の結婚相手だった。「パパに双子の弟がいたの?」「男同士で結婚って出来るの?」。幼い夏菜は突如現れたカナダ人の“おじさん”に大興奮。弥一と、“弟の夫”マイクの物語が始まる――。

弟の夫

| 双葉社(出版)

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Ebook販売元 : コミックシーモア

弟の夫のレビューが0 件あります

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51件のネット上の評価があります

  • 80

    sakuhindb

    きっかけ、としては調度いいんじゃないか、って漫画でした。私は今の、いわゆる「BL」といわれるジャンルの漫画は、ほとんど読んでません。しかし、同性愛を扱った漫画、というものは、BLという言葉が生まれる前からありました。そういう漫画なら結構読んではいたんです。風と木の詩、トーマの心臓、摩利と新吾、日出る処の天子、etcただ、これらの漫画を今のBLと同一視していいかどうかはファンの間でも議論があるようです・・・上記の漫画は、男の私でも面白く読めましたし、内面描写の手法も優れていて、名作といっていいと思うんですがやっぱり、その担い手がほぼ女性だったせいもあって、恋愛が前面にきていたり、耽美的な傾向が強いものでした。それはそれで、面白く読めはしたんですが、同性愛の問題を身近に考える、というところまではいってなかったんです。少なくとも私にとっては。なぜなら、そこには「ノンケ」の視点はあんまり無いからです。ノンケの私にとっては、まあ、そういう愛の形もあるんだろうな、ということぐらいなら薄らぼんやりとはわかります。しかし、そこに係わるノンケたるマジョリティの視点、というものは、あんまり漫画では語られてこなかった、と思うんです。それが、上記の作品群では、私がこの問題を身近に考えられなかった原因だと思います。ところが、この漫画は同性愛がテーマなんですが主人公はノンケである子持ちの男性です。彼が悩んでいるのは、「弟の夫」たる男性にどう接すべきか同性愛者だった、今は亡き弟に対してとった行動は、あれで良かったんだろうかという事柄です。つまり、もし家族が同性愛者だったら、あなたどうします?という視点なんです。これだと、同性愛の問題は、身近に考えやすい。というか、身近に考えざるをえない。そこに、「いや、私はノンケだから関係ない」という考えは通用しないわけですから。主人公は、一歩考えを進めて、もし、自分の娘が同性の配偶者を連れてきたらどう対応すべきなんだろう、というところまで悩みだします。主人公は、一応の結論を出しますが、もちろん、こんな問題に、正解というものは存在しません。ただ、これはノンケが同性愛を考えるにおいて、非常にいいテーマだと思うんです。自分が、同性と恋愛の当事者になることは、まずないだろう。しかし、それらの人と係わる可能性は常にあるし、そこには家族も含まれる。別に、同性愛者への差別が〜、人権が〜、なんて大上段でややこしい考えをする必要はないけれどもし家族が同性愛者だったら、あなたどうします?という思考実験は、やっておいて損は無いと思うんです。また、この漫画の作風も、エキセントリックなキャラクターやドラマティックなストーリーなんてものがほとんどなくて、3週間「弟の夫」と日常を過ごすという地道な展開になっていてそこも、同性愛を身近に考えやすい一助になっています。ノンケが、同性愛を考えるきっかけ、としては、適切で調度いい漫画なんじゃないかなあと思いますので、評価は「とても良い」にさせて頂きます。※蛇足異性を好きになる人、を表すのにどんな言葉を使うべきなのか、を調べてみたんですが結構ややこしいことなんですね。「普通」や「ノーマル」は差別的で、使うべきではないらしいんですが「ストレート」はかまわない、ってのもなんかよくわからない理屈でした。「ヘテロセクシャル」という言葉もあるそうですが、なんか学術的で、どこか縁遠い。そこで、私は「ノンケ」という言葉を使わせて頂きました。なんかこれが、一番身近で、砕けたものいいだと思いましたので。この手の問題を語るときの「言葉遣い」って、なかなかにめんどくさいですね・・・

  • 100

    cmoa

    勤務先の書店に2巻が入荷しているのを見て興味を持ち、こちらで1巻を購入したのですが、とても良い作品だと思います。

    他の方も仰っているように、BLやМLではなく、同性愛を忌避しようとする考え方が変わるような、そんな作品だと思います。

    娘の夏奈ちゃんと二人ぐらしをする弥一の元へ、カナダから、弟の夫だったマイクがやってきます。弟はもう亡くなっており、マイクは弥一たち親子の元に滞在することに。
    初めは「弟の同性の配偶者」であるマイクとの関係を難しく考えてしまい距離感に戸惑う弥一ですが、夏奈ちゃんの感性を通して、徐々に変わってゆきます。

    読んでいると読者も、夏奈ちゃんの素朴な疑問や純粋な感性を見て、感じて、色々と思うことがあったり、気付かされる事があったり。

    絵柄で苦手意識を抱く方もいるかな?とは思いますが、もしこのレビューで興味を持って頂けたなら、是非、試し読みからでも、読んでいただければと思います。
    早く2巻も電子配信されるといいなぁ。

    《追記》
    「理解を深める」という表現にずっとモヤモヤしていたのですが、Twitterにてすとんと落ちる表現を見つけたので追記と修正をします。
    「理解を深める」ではなく「否定せず穏やかに受け入れる」ことが出来るような考えが芽生えるような作品だと思います。

  • 100

    cmoa

    優しさ・思いやり・人間の良心 を 沢山 感じ取れる 作品 。

    表紙カバー絵 も キレイだが 中表紙の イラストが ポップで 楽しくて 大変 愛らしい 。

    性同一性障害・同性愛 等が テーマの 作品は 辛過ぎる 内容が 多く まともに 拝見 出来なかった 。

    本作品は メインの男性2人も女のコ も 思いやり・優しさ あふれる キャラで 好感度 大 。

    脇を固める サブキャラ達も 大らかな心の持ち主 方々が 多く 穏やかな 気持ちで 楽しめた。 (そうではない キャラも 登場するが 全ては 慎重過ぎる 気配りと 解釈したい 。

    大人は 勿論だが 未成年の ティーンエイジャー達 にも 是非 読んで頂きたい 。

    人が人を 愛する 過程の 教科書と して 。

  • 100

    cmoa

    カナダで同再婚した弟が亡くなり、その配偶者が来日し自分の家に滞在する3週間に主人公の弟への思いがすっきりとクリアになるラストは、雲がかき消えて晴れ間が広がるような感じです。作家さんが伝えたいことの代弁なのでしょうか。
    相手を愛しく思うことが一番大切なことなのだと自分で思うだけではなく、他人への考え方など、汎用的な考えが描かれていました。マンガだけでなく文章での説明も添えてあります。作家さんが選ばれている言葉を見て、より正しく分かることができました。
    うちの娘が通う小学校にも、LGBTについての講演のチラシなどが届きますが、学校側からPTAに渡されるだけで止まっています。この作品が小学校の図書館に置かれるようになればいいなと思います。

  • 80

    cmoa

    私にはトランスジェンダーの友人がいます。この話の大元になっているゲイとはLGBTとひとまとめにされがちですが、それぞれ違います。
    ただ、マイノリティという意味では共感する部分があるので、いろいろ考えられます。
    友人を考え無しの言葉で傷つけてはいないだろうか、腫れ物に触るような態度をしているつもりは無くても、そのように感じていることは無いだろうか。自分も何気無い他人の言葉に傷つくことは多々ありますし。
    世の中は偏見や共感できないというだけで差別するものです。そんなことがなくなればいいのに、と常々思います。
    この本の好感度の高さのように、世の中に浸透していくといいなと思いました。

  • 100

    cmoa

    完結しましたね。本当に良い作品でした。ゲイの方がさらされる世間の風の冷たさをほんの少し感じて、ドキリとさせられました。偏見なんてない、嫌悪感なんてないと普段思っていても、テレビでオカマをバカにする芸人さんを見て笑うし、息子がドレス着てプリキュアごっこしてたらツッコミ入れちゃうし、、、なんやろ、、、フラットに考えなきゃ、偏見をなくさなきゃと頭で考えないと簡単に無意識に差別しちゃうところがあるなと思った。実際に身近にはいないけど。知らんけど。
    読み返すと1巻の主人公の冷たさ!本当にラストでの成長というか変化にジンとしました。

  • 80

    cmoa

    【このレビューはネタバレを含みます】 1巻無料分だけ読みました。2巻以降も買うかもしれません。
    女性子供と男性の描き込みや線に作者の熱量の違いを感じましたが、それ以外はとても良いです。
    ゲイの人に偏見はないつもりでしたが、この漫画を通して私も主人公のようなモヤモヤとした気持ちがあるんだなと気づかされました。
    階段を一つ一つ上るような丁寧な心理描写で、違和感なく読み進められます。
    主人公が死んだ弟を思うシーンで、涙を直接描くのでなく月夜がブレて泣いているのを匂わせるのは上手いと思いました。

  • 100

    cmoa

    【このレビューはネタバレを含みます】 無料だったので読んでみました。
    私自身LGBTQの当事者なので(Aセクに近いです)、腐女子なのとは別の観点から読みました。主人公が知人に声を掛けられて「弟の友人」と返事しちゃうところは非常に気持ち分かりました。
    LGBT(この場合は文字通りこの4種類)に偏見ないつもりの私もそう言ってしまうかもしれない。自分の中の偏見と傲慢に気付かされました。
    GW後半にクーポン出ないかな?出たら全巻買おうと思います。

  • 100

    cmoa

    当事者です。
    自分は「弟」の立場で、同じように海外に出たのですが、読んでいて本当に漫画の通りで、読み終わったあとしばらく涙が止まりませんでした。
    一番大好きな家族が一番の敵って、本当にその通りなんです。本当は家族に一番知ってほしい、でも家族だから絶対に言えない。
    昔、両親と一緒にテレビを見ていたときに、出演していた同性愛者に対して「気持ち悪い」と両親がいった一言は今でも忘れられません。
    たくさんの人にこの作品を読んでもらいたいです。

  • 100

    cmoa

    ゲイの双子の弟が移住先のカナダで亡くなり、結婚相手のカナダ人の男が、日本の兄に会いに来るお話。日本人がゲイに抱く偏見やイメージがつらつらと描かれていて、イチイチ心に刺さるのです。。自分にも ゲイに対する差別の心があったんだと 気付かされたシーンが何度も、あって。そうか、こういう思考も差別に当たるのかと 恥ずかしく涙がでるシーンもあり、考えさせられる漫画でした。読んで良かったなぁと思ったのと、多くのひとに読んでもらいたい作品です。

  • 100

    cmoa

    ドラマ化の関連番組を観て、興味を持ちました。淡々と描かれていますが、全体にやさしい空気が流れています。
    初めて会ったマイクを「家族」とすんなり受け入れるカナちゃん。
    性別関係なく、愛し合うもの同士が結ばれるべきと思うユキちゃん。
    マイクと接する事を悪影響と心配するユキちゃんのママや先生も悪い人じゃない。
    それはマイク個人を知らないから。偏見を無くすには、その人を知るしかないんじゃないだろうか。

  • 80

    cmoa

    理由もなく同性愛を気持ち悪がったりするような人に黙って押し付けてやりたい…言い方は悪いですが本当にそんな作品です。自分自身、同性愛に極端な偏見は持っていないつもりですが、それでも弥一(女の子のお父さん)と同じ考え方をしている部分に気付かされ、何度もハッとさせられました。このような場で何ですが、人気の少年・少女マンガを実写化するよりこちらのような作品を実写化していってほしいなと個人的に思います。

  • 80

    cmoa

    自分はゲイの友達がいるけれど、そのパートナーに会ったことはない。あまり深く考えたことはないが、会ったら主人公のように複雑な気持ちになるのだろうか?少し考えてしまった。
    しかし、別に構えることなく人として接していれば良いだけの事なのだろう。主人公の娘の言動を見ているとそう思わされる。

    絵はとても上手で見やすく、ゲイものと特に意識せずとも読める。
    2巻以降も読んでみたい。

  • 100

    cmoa

    以前同僚に「実はゲイなんだ。」とカミングアウトされました。
    特に偏見もなかったようで、すんなり受け入れられました。
    でも、世の中まだまだ偏見があって、嫌な思いもたくさんしていると。

    ゲイの方々とお付き合いのある私でも、読んでいるうちに「あっ、そうだよね」と気付かされる事もありました。
    この作品がきっかけで分かりあえるようになれるといいなぁ…と思います。

  • 100

    cmoa

    決して派手なお話ではないです。そして特別重くもなければ、特別悲しくもない。
    でも、淡々と、静かに綴られていく中に、人の思い、同性愛者本人、そして関係者、そして関係ない外野の、あるべき姿のようなものが見えてきます。
    みんな違ってみんないい、これがごく自然に認められる、受け入れられる自分かなと、我が身を振り返りました。
    たくさん人に読んでもらいたい作品です。

  • 100

    cmoa

    前から知ってはいましたが、読んでいませんでした。ドラマ化と共にキャンペーンをやっていたのでやっと読めました。
    今まで読まなかった事を後悔しました。何回読んでも泣けます。子供はとても素直。なぜこの気持ちのまま大人になれないのか。
    作者の田亀先生自身も、たくさん辛い思いをされてきたのだろうと思いました。そういう方でないとこの優しい目線で書けないと思います。

  • 80

    cmoa

    ゲイときくとついBLマンガを思い浮かべましたが、この漫画は絵がまったく違っていて、当たり前ですが現実的でよかった。お試し1巻のあと、最初3、4巻を買って気になり2巻も追加して購入。全巻読んで弥一の気持ちの変化がさらに納得でき、BLしか思いつかない私も弥一と一緒にマイクを理解していった気がしています。

  • 80

    cmoa

    どうのこうのだけじゃなく、家族とは、結婚とは何かを考えさせられる作品です。マイクの「パパもママもりっぱな仕事」というセリフにグッときました。理解できないものはとりあえず否定する「大多数」の人達や、色んな考え方を吸収する過程の「子供や若者」にぜひ読んでほしいです。

  • 100

    cmoa

    ゲイの友人と最近面白かった本は何?という話で盛り上がった作品です。
    最初はBL漫画かなと思いましたが実際読んでみると全く別物で、そこにはファンタジーだけどリアルな世界が描かれてました。
    ゲイに偏見のある人も一度読んで欲しい。
    最終巻は号泣でした。

  • 100

    cmoa

    ゲイを扱った話ではありますが美少年・美青年同士のBLの様に幻想的なものではなく、現在の日本においてのまだまだ理解の狭さが描かれております。
    その一方でホームドラマとしてしっかりと、新たな家族像も描かれており、優しい気持ちになれます。

ネット上のイメージ

家族
優しい
感動
教師
日常

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