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「女」という不思議な存在のさまざまな愛のカタチを、静かに深く鮮やかに描いた珠玉の連作集。オトコには解らない、故に愛しい女達の人間模様5篇。

愛すべき娘たち

| 白泉社(出版)

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Ebook販売元 : コミックシーモア

愛すべき娘たちのレビューが0 件あります

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28件のネット上の評価があります

  • 90

    manga_review

    よしながふみの「愛すべき娘たち」を描くオムニバス短編集。

    よしながふみの作品でも1番大好きなのがこれ。文句なしの傑作。

    彼女の作品は常にジェンダーへの意識が感じられるとはよく言われることだ。それは確かに正しいのだけど、それだけではなく彼女は人間を型にはめるのが嫌いなのだと思う。
    第1話冒頭、雪子の母親は「親だって人間だもの!不機嫌な時だってあるわよ。あんたの周囲がすべてあんたにとってフェアでいてくれると思ったら大間違いです」なんて一見とんでもないことを言う。
    でもそれは真理だ。男だから、女だから…と同じくらい母親だから、お兄ちゃんだから…というのは固定的な通念で、だからこそ自分の生き方を自由に決めるためには考えるべきことなんだ、そんなよしながふみの姿勢を私はすごく尊敬している。

    これは程度の差はあれどよしながふみ作品全ての根底に流れているもの(と私が勝手に思っている)で、特別愛すべき娘たちを好きな理由にはならないかもしれない。
    この作品は、いつものよしなが作品と同様に何気ない会話や仕草が非常におもしろい。元ホストの青年をいくら誠実だといっても納得させるのは難しい。それをこの人はお茶を入れる仕草だけで表してしまうのだから脱帽だ。

    ただ、愛すべき娘たちの秀逸な点はやはりその目の付け所、視点のおもしろさじゃないだろうか。
    そんなに捻りのない話でも、よしながふみの見方はとても独特で常に新しい切り口のように感じられる。構成もとても上手い。

    全体的に質は高いが、中でも飛びぬけているのは第3話と第4話。特に4話は今まで私が読んだ短編の中でも相当なもの。
    3話は「分け隔てない愛」の話。優しく慈しむような愛と強烈な皮肉が相まってとんでもない怪作に仕上がっている。残るのは納得と一抹の寂しさ。
    4話は「理想や夢の変質とそれを守る難しさ」という斬新なテーマをを残酷なほど丁寧に描いている。これで良かったのだという思いとそこまで割り切れない思い。そしてささやかな夢を叶えた友人。こういうのがあるから漫画を読むのは楽しい。

    長々ととりとめもない文章になってしまったけど、大好きな作品なのでついつい色々と書き連ねてしまった。
    よしながふみの「姿勢」と「思い」が詰まった傑作短編集。かなり気に入っているのでぜひ読んで欲しい作品です。

  • 70

    manga_review

    母親には子供に大していつもフェアではいられないし、平等に
    見ることができない時もある…それは真実だけど、建前では
    母親は常に子供達に平等で無条件の愛をささげている存在に
    なっている。それだけにこの短編集の鋭さったらたまりません。

    様々な娘達が出てきますが、基本は過去に浴びせられた言葉に
    囚われた人達が多いですね。それに基づいて作られたキャラ達の
    性格が上手く表現されていること!
    よしながさんはちょっとした会話の言葉にでも敏感な方なん
    だろうなぁと思ってしまいました。

    そして他の方も書かれているけど、何気ない仕草やセリフに
    仕掛けられた意味合いもすごい。青年がお茶を煎れる仕草には
    うならされました。

    3話めの「分け隔てなく愛する」娘の話は、なるほどだから
    仏陀は妻子を捨てて出家し、イエス・キリストは妻子を持た
    なかったのかと色々気づかされた話でした。

  • 80

    manga_review

    よしなが先生の作品のレビューは4作目で、作者の作品群の中ではまだ一部にすぎませんが、今のところどれもつい高得点になってしまいます。
    (「西洋骨董洋菓子店」「フラワー・オブ・ライフ」が8点、「大奥」が7点をつけてます)
    それはどれも巻数が長すぎず、且つしっかり盛り上げてくれるからです。。
    読み終えた後に自分の中で「他人に薦めやすい」という位置に安定して入ってしまいます。だから点数も高めになってしまうんです。

    この「愛すべき娘たち」は中心となるキャラクターは存在しますが、一話毎の主役はオムニバス的に変わるため、様々な話が楽しめます。

    「恋をするって人を分け隔てる事じゃない」

    という作中のセリフが特に印象的でした。

  • 100

    cmoa

    よしながふみさん2003年の作品です。まるで上質な映画を観せていただいたかのような読後感。私は特に第3話、雪子の中学時代の同級生の話が印象に残りました。現状は不幸ではないけれど、明るい未来が見えるわけでもない主人公の心境がすごくリアルでした。誰しもが知っているこういう気持ちを、的確に表現されてラストシーンには涙が溢れました。オムニバス形式でさまざまな形の人間同士のつながりを見せてくれます。すべての母も祖母も女友達も、みな「娘たち」だったのだなぁ…と思うと、自分の周囲の人たちを見る目が少し優しくなれる気がします。

  • 100

    cmoa

    様々な視点から描かれる、オムニバス形式の短編集です。
    どの登場人物も、どこにでも居そうな人達。どのお話も、ちょっとだけボタンを掛け違えた様な関係性。なのにどの話もどの登場人物も暖かく、読後に妙な余韻が残ります。
    描くよしなが先生の、人間性がそうさせるのだと思います。男性も女性も、母も娘も、勿論友達も。
    身の回りに居る人達が、すべからく愛しく思える作品です。

  • 100

    cmoa

    これは短編集です、読み終わってから切ないとかじゃない。甘い恋愛ドラマみたいに「きゅーん」ってしない…だけど胸の奥が「ぎゅっ」ってなる。物凄く「ぎゅっ」って痛かったりしてしまうお話、よしながさんの心理描写には感服&完敗(^_^;)この作家さんはどんな人生を歩んで来たのだろうと考えてもしまいました、説明は要らないかも読んでみて下さい。

  • 100

    cmoa

    【このレビューはネタバレを含みます】 表紙の女性、雪子さんがずっと出てきます。中でもシスターになる話が、こんなきっかけでなる人がいるのもいいな、と思いました。修道院でも好かれそうだし、慈善事業を積極的に行うとか、カトリック系の学校にもいてほしいとか、ゆくゆくはカリスマシスターになるとか、想像が膨らみました。

  • 100

    cmoa

    こちらも素晴らしかったです。
    共感できる部分と同じ女性だからこその嫌悪感を良い加減で楽しむ事が出来ました。この手の作品は身につまされ過ぎてイタさしか残らないのも多いのであまり読まないんですけど、よしながふみさんは暖いけど良い意味で冷めた視線というか…御本人もサッパリした性格の方なんじゃないかな?と勝手に想像しています。

  • 100

    cmoa

    【このレビューはネタバレを含みます】 人それぞれ残るシーンがあると思うが、わたしはシスターになった女性が言う『恋をするって人を分け隔てることじゃない』というシーンに恐ろしさを感じた。『特別』ではなく『分け隔てる』。こういう言葉で表現できるよしながさんの感性に脱帽。

  • 100

    cmoa

    まず一話見て、お母さんが娘の背中を蹴る場面があるんですが、DV的な蹴りじゃないにしても、正直もうその時点で、この母親の居る家から離れない娘が理解出来なかった、私は。はよ実家出ろよと。でも、最後まで見て、なんというか…じわじわきました。うまく書けなくてすみません。 星は5つ。

  • 100

    cmoa

    母に対して、厳しさがなくて辛辣さがなくて、とても視線があたたかくて優しいけれどちゃんと自立している娘たち。 よしながさんの人間性が素晴らしいから、こんな素敵な作品ができたのではないかと感動。 サラッと読めてしまうけれど、様々なシーンごとに深く心に残りました。

  • 80

    cmoa

    作者さんの言葉選びのセンスが好きです。
    ドキっとしたり感じ入ったり、考えさせられる。
    独特の世界観と相まって、心にじんわりと染みました。
    色んな人の視点から話が出来ていて、母娘も距離の近しい他人なんだなと感じました。
    お見合いの女性の話が好きです。

  • 100

    cmoa

    母親には母親の人生があり、娘には娘の幸せがある、としみじみ思います
    母親も娘だったし、娘も母親になる
    和解を求めずに心に傷を持っていてやりすごしながら生きていく
    子供には世界一かわいくて愛されているって実感を持たせないと歪みがでるのかな

  • 100

    cmoa

    短編集ですがスピンオフみたく繋がっています。絵も綺麗です。物語もしっかりしていて共感できるところや惹かれるところ、もどかしくなるところと、人間臭さと言いましょうか。とてもいい味、いい作品でした。幸せはどこかにありますね。

  • 100

    cmoa

    【このレビューはネタバレを含みます】 色々な価値観の女性が出てきます。
    穏やかな視点で表現されていて、良品な小説を読む様でした。
    ひとつだけ、あの女子大生の視点が無かったのが残念。

  • 100

    cmoa

    自分自身が実母とうまくやっていけてなく、実母から自立出来てなかったんだなあと改めて思いました。
    実母も祖母とはいろいろあったかもしれないです。
    こういう作品を描ける作者さんの感性が好きです。

  • 80

    cmoa

    女性ならではの良いところも悪いところも上手くキャラに落とし込んでおり面白い。読み終わった後すっきりした気持ちになりました。共感できるとこも出来ないところもありつつでも面白い。

  • 100

    cmoa

    登場人物たちがみんな心に何かを抱えていて、それでも生きていく姿に心がちくちくする素敵な連作。シリアスなのにユーモアに溢れていて何度も読み返したくなります。

  • 100

    cmoa

    よしながふみさんしか、描けない世界観。
    女性からみた、ちょっとダークな感じや、くすりと笑える会話や、ちょっとした笑いや。。。頭のよさを感じます。

  • 60

    cmoa

    リアル過ぎて読んでて疲れました。
    高レビューで選んで購入しましたが、女の悪い感情もガッツリで…
    よしながふみさんでも
    ちょっと買って損しました。

ネット上のイメージ

オムニバス
子供
優しい
独特
綺麗

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