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母が精神科に通い始めたとき私はまだ4歳でした――。これは、精神病にかかったお母さんを持つ、著者の実話を描いたエッセイです。病名は「統合失調症(トーシツ)」。昔は「精神分裂病」と言われていたこの病気、なんと100人に1人の割合で発症しています。これはがん患者と同じ割合です。でも、どうしてあんまり聞いたことがないのでしょうか。その裏には家族のやりきれない想いがあったのです……。著者とお母さんの心と心のぶつかり合い、通じ合いがリアルに胸に迫る、31年間の想いが詰まった感動のエッセイ!

わが家の母はビョーキです

| サンマーク出版(出版)

87

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わが家の母はビョーキですのレビューが0 件あります

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199件のネット上の評価があります

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    ユキさんが幼いころ、母親が統合失調症を発症しました。かっての精神分裂症が統合失調症と呼称変更になったのは2002年、13年前です。ほんわかした絵柄に救われますが、内容はすさまじいです。バトルです。ユキさんは統合失調症を発症し崩れていく母と、何が起こったのかわからないままオロオロし一緒に生活します。病気の母は、幻聴による「殺せ、殺せ」の声で包丁をもって娘に迫ることもあります。そんな母親を恐れ、怯えながら、病気の母の世話に明け暮れるユキさんです。母親の病気で結婚し家庭を持つことなど諦めていましたが、縁があり結婚されました。ご主人はおおらかな性格と介護福祉士という仕事が幸いし、母親との関係は良好です。マンガの持つチカラでしょう。日常の何気ない出来事の描写がほのぼのとしたものを感じさせます。この本は統合失調症についての病識、ケアーのあり方、障害年金などの知識をわかりやすく描かれています。同じように統合失調症の母親をもつ精神科医の夏苅郁子先生は、ユキさんの漫画を読み、衝撃で涙が止まらなくなり、ユキさんに手紙を書き、会うことにしました。同じ苦しみ悩みの2人は、胸の内を吐き出し、6時間も語り続け、涙、涙、涙でした。ユキさんとの出会いは母親の病気をカミング・アウトする大きな力となって、夏苅先生の背中を押しました。夏苅先生は、以前紹介しました「心を病む母が残してくれたもの」という本を発表しました。どんな社会・民族・国、いつの時代でも統合失調症の発生率は、人口の1%です。誰でもガン細胞を持つように、だれでも統合失調症の遺伝子を持っており、発症する可能性は誰にでも、あります。健常な人は、発現しないだけであることはガンと同じです。統合失調症の確定的な原因は不明です。大きいストレスが影響しているようです。確たる治療法はありません。回復率は徐々に向上していますし、サポートする体制も良くなる方向です。でも、患者を支えているは、今も昔も家族が中心です。家族の負担は、大きく、そして長きに渡ります。この本は、家族のあり方についても、考えさせられます

  • 100

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    脱力系のゆるいタッチの絵で描かれた漫画ですが、冒頭の子供時代のエピソードがかなりヘビーな出来事なので、読んでいて正直辛かったです。家族間での「やらないとこっちがやられる」的緊迫感は自分も経験した事があるので(父親の暴力ですが)よけいリアルに感じてしまったのかもしれません。著者が母親と引越し、地域生活支援センターに行ってみた事が切っ掛けでどんどん良い方に向かって行くので読後感も良く、ブルーな気持ちのまま本を閉じると言う事が無いのが良かったです。結局、患者だけがサポートを受けててもダメで、患者の家族も愚痴を言ったり気軽に相談できる信頼できる相手が必要で、それがあれば気持ちに余裕ができ、患者への対応の仕方にも変化が生まれるのですね。何より、「変な行動をしても自分を嫌わないでいてくれる人の存在」が居ればこそ病気の症状軽減→寛解へと繋がる一歩にもなるのだと感じました。そして、著者が結婚して第3者が居る状況もプラスになっているのは見逃せません。母親が娘の夫の事を気に入っていて、嫌われたくなくて変な行動をしないようにしようと考えているのはいじらしいシーンでした。母と娘と2人でピリピリした時でも、夫が帰宅する事で場の空気を変える事が出来るのも良い方向に働いています。患者の家族がまずどんな病気かを知り、どんな薬を飲んでいて患者が今どんな心境に居るのかを掴んでいないとただキツい薬でぼんやりしているだけの人になってしまうけど、「実は副作用が辛くて薬を飲む事自体が辛かった」と解り、薬の種類を変えるだけで劇的にイキイキとした表情を見せる事があるのですね。患者の家族が積極的に関わろうとする事が治療の一番のポイントなのかもしれません。「飲まないと怒られるから渋々飲む」から「飲むと気分が良くなって調子がいいから飲む」への投薬治療にならなければ結局治る物も治らないのかも知れません。

  • 100

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    私も統合失調症なので当事者として読みました。涙なしには読めませんでした。日本のスピリチュアル界では有名なスピリチュアルな能力をお持ちの精神科医の越智啓子先生の『人生のしくみ』など御著書に、統合失調症はショックな出来事があったことで肉体と霊体に「ずれ」ができてそこに「窓」が出来てしまい、その「窓」から成仏していない霊ちゃんが入ってくるということと、統合失調症患者やうつ病の方は『光の仕事人』をしているのだという仮説が書かれていました。スピリチュアリティの勉強をしているので、スピリチュアリズムでは有名な良書『シルバーバーチの霊訓』という半世紀にわたる高級霊との交霊会の記録や、日本の霊界通信の良書にも『小桜姫物語』があるくらいですから、霊能者の言う『悪霊の憑依』という現象はあると言えます。ユキさんのお母さまがDV家庭で育って心傷つくことがたくさんあり、キネシオロジーテストという筋肉の反射でみる科学的なテストにおける意識レベルの数値が低かったことで低級霊を引き寄せるということはあります。またお母さまが心が綺麗で繊細なためユキさんになにか言い返すと「私が悪いんだ」とご自分を責めてしまったりしていたのかもしれませんし、「自分は愛されていない」と感じて追い詰められてしまったことで憑依している低級霊が「これは都合がいい」と出てきていたということが無いとは言えません。2巻の感想に書きましたが、レイキヒーリングやフラワーエッセンスなどのエネルギーでのヒーリングをされていたらここまで辛い人生を歩まれなかったのではと思います。またユキさんもセルフヒーリングに取り組まれたらいいのになぁと思ったりします。何度も読み返して涙したりした本でした・・・

  • 100

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    友人の母が実は「精神病」との事なのですが、何年も病院に連れて行っていません。20年も昔、病院で「ノイローゼ」と診断されたきっり。今も症状は完治していないのに、です。キチンと治療した方がいい・今は薬も変わったしと説得しても「無理・無駄」と思い込んでいるようでした。何より家族も本人も「恥ずかしい事」と思い蓋で覆ってしまっている、そんな顕著な例でした。今でも、こういった病気を抱えている多くの家族は社会的に孤立しがちなのだと(病気の部分だったり、社会的にだったり)、その友人との会話から感じました。そういったやり取りの経験もあり、この本を知ってすぐ入手しました。現代の精神医療は非常に進歩しています。かつて、言葉は悪いですが「頭がおかしくなった」と片付けられてきた様な多くの症状も今は原因や、効果のある薬が解明されています。心の病気だと思い込んできた症状が、実は単なる脳の病気だという事もあるのです。恥ずかしいと放置すると悪化の一途を辿るケースもある。そういった、私が友人に話して聞かせた事が、実体験を伴った著者の視線で非常に分かり易く、説得力を持って描かれています。内容は途中の心情もヒシヒシと伝わってきましたが、大変軽いタッチの絵が幸いして決して重たく感じませんでした。実際、このテーマは干渉が難しい「他人の家庭の中」の問題でもあります。友人であっても深く干渉の出来ないデリケートな問題です。それでも「何か助けられる事があれば」と思った方は、この本をそっと手渡してあげるだけでも充分効果があるのではないでしょうか。私は読後、この内容なら大丈夫と、冒頭の友人に贈りました。最終的には「ほっ」と出来るような救いのある内容でもあったからです。

  • 100

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    私は同じ精神障害を持っている者で、うつ病を20年以上患っています。寛解しながら、状態の良い時は普通に生活を送っている時期もあります。この本は読売新聞に何かのコラムかどこかで取り上げられていたときから、読めることを楽しみにしていましたが・・・これほどの壮絶な体験をされた著者とそのお母さんとそして、著者のご主人と同居のインコたち、みんなの幸せを心から祈りたい気持ちでいっぱいになりました。 こういう本を漫画という読みやすい形で世に出してくれたことにその勇気に感謝します。私はうつ病で統合失調症ではありませんが、何日も眠れなくなった若かった頃、看てくれてる母と一緒に涙した日もありました。 私は母や家族に恵まれ、これほどの壮絶な体験は有り難いことにありませんでしたが、辛かったことってなかなか忘れないものだなと感じました。本の中で「消えちゃいたいね」と母と娘がいう場面。私も何度も思いました。そして「消える」というのは「死ぬ」ということではなく、《存在しない平安》と言ってる場面では、自分が、消えたいと思ったときに、どういう意味かと問われて応えられなかった自分の答えを、長い間かかって、やっとみつけた想いでした。どうぞ、これからも家族みなさん、周りの方たちに助けられながら、お互いさまの気持ちを忘れずに、笑顔の多い時間を過ごしていってください。 私も自立支援センターにこれから、実習を受けながら、また社会に出てみようという気持ちになり今、準備中です。この本を読んで少しでも精神を患ってる人の気持ちを汲み取ってくれる方が増えることを願っています。

  • 80

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    ある程度、他の本で統合失調症などの精神疾患の治療のケースを知っている身としては、前半はなんとも歯がゆく、辛い展開でした。作者のユキさんが本当に幼い頃にお母さんが統合失調症になってしまい、他に統合失調症の患者さんを知らず、知識がないため、作者さんがオカルトに傾倒し、わずか10歳で新興宗教に入ってしまう、というお話は、さらりと書かれていますが、非常に重いエピソードに感じられました。お母さんが病気を恥ずかしく思って、主治医に本当の病状を話さなかったため全く合っていない薬を出され続けていた事などは、ユキさん他、身内の方がお母さんを長い間、一人で病気に向かわせてしまっていた事に根差していると思うのですが、総じて、「知識がなく、そうしておくのが悪い事とは知らなかった」のが悪いのであって、誰かの責任ではないように思われました。統合失調症の発症確率を見ると、かなり高いものです。それなのに、病気の知名度が低く、詐病や憑き物、悪魔憑きのように思われてしまうとは……。うつ病くらいには統合失調症が一般に知られてほしいものです。この本から学ぶことは色々とあると思いますが、福祉の補助制度の具体的な活用などの他には、1.医者には正直に病状を話す(そうでないと正しい薬が処方されません)2.薬はきちんと飲む(治すためには重要なことです)3.家族も病気の知識を持つ(患者さん一人に服薬・通院を任せきりなのはよくないことです)などが重要でしょうか。統合失調症の患者さんが身内に居たり、親しかったりする人は、一度読んでみるといいと思います。

  • 100

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    とても感動し、涙を流しながら読みました。お母さんの気持ち、娘の気持ち、どちらも身に覚えがあるようで心が痛く、悲しくなりました。私事ですが、病気こそ違えど私も35年くらいの病気持ちなので、自分もたった一人の大事な娘(今うつ病です)に、著者のユキさんのような悲しい思いをさせたり、長い間重圧を与え続けていたんだろうな〜と、とても悲しく身につまされる思いで、涙しました。ユキさん、本当に頑張ったんですね。本当に立派ですね。どんなに孤独で悲しい思いをしたことか、誰にでも打ち明けられるわけではない環境の中で、24時間常にお母さんの心配をし続けたことは勿論ですが、死にたいと泣くお母さんの傍らで、幼い柔らかな心がどれ程痛んだことか計り知れません。霊のせいだと思って10歳で宗教団体に入ってみたり、成長してからも、お母さんがいなければ楽なのに、と思ってしまった自分に絶望するなど、とても苦しい長い時間を過ごして来られたことに胸が痛くなり泣けました。ユキさんが、本当に心を落ち着けて過ごすことの出来る旦那様と巡り合えたことは、必然のように思います。神様の大きな祝福だと感じます。お母さんのたった一つの夢だった「温かい家庭をつくること」。それが今叶っていることが、本当に嬉しくてなりません。お母さんも、DVのお父さんの傍で辛い思いをしながら育って来られたのだと思います。「生きてて良かった」と言ってくれるお母さんの傍で、また、愛する娘さんの傍で、お母さんが、そしてユキさん家族皆が幸せでいてほしいと、心から願います。

  • 100

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    内容は著者の精神病を患ってしまった母親に対してのもので、著者はともかく著者の母親が凄く気の毒で仕方がありません。更に著者の父親がギャンブル中毒でギャンブルで必要な金欲しさのためなら暴力に走るという行動に走り、また、父親の母はこの馬鹿息子を叱りもせず逆に「お前がだらしないから」と、著者の母親を責める一方で実に腹立だしく仮に近くにいたらブン殴りたくほどです。さて、僕がこの本を読んで言いたいことはこの本は多くの人を含め男性(特に父親)に読んでもらい自分のエゴを丸出しにしていたら、妻(子供)はおかしくなってしまうんだよ、と大いに知っていただきたいです。この本でも著者の母親の精神を崩した原因は父親であり、確かに父親というのは「俺は仕事をしているから家でも何をしてもいいんだ」と、思い込んでいる人が多いらしく、しかし、それは大間違いであり、父親が威張り散らしている家庭の妻は著者のような母親や非行に走る子供も少なくはないのです(全員がそうとは限りませんが…)。また、姑の方もこの本は読むべきです。 著者のおばあちゃんは上記にも書いたように酒飲みたさのためなら暴力さえ振るうにも拘わらず駄目馬鹿息子を叱らず嫁を責め立てるというのは駄目です。我が子が可愛いというのは分からないでもありますが、それでは息子を甘やかすだけです。長々と書いてしまいましたが、この本は必読だと思います。 多くの方がこの本を読み精神病の大変さを知っていただきです。最後に妻を持つ親父が絶対読むべきです(義務付けても良いくらいです)。

  • 80

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     私はカウンセラーをしていますが、プロのカウンセラーでさえ、こと自分の身内、ましてや親、兄弟となると、自分の価値観や感情が出てしまい、冷静にカウンセリングができなくなります。それは未熟、ベテラン関係なしにです。 ですから、著者がトーシツの知識もなく31年間ずっと耐えてこられたことに畏敬の念を抱かずにはいられません。 著者も書かれていた様に、「(後に夫となられるタキさんが)第三者として入ることによって空気が変わる」。これは、非常に大切で心丈夫なことだと実感します。事実、当初は娘の旦那様にでさえ、過去の自分の病気のことを知られたくないとおっしゃっていたお母様ですが、著者がこうしてこの漫画を上梓されたのです。よほど前向きな心の変化があられたのだとお察しします。服薬も不可欠ですが、やはり周りの協力と思いやりあっての今現在でしょう。 ただ、一点だけ不安要素がありました。お母様が包丁を持ち出して著者に襲いかかるシーンが何度も見受けられますが、世間の偏見を増長させるのでは、と懸念いたしました。「精神を患った人=危険人物」或いは「殺人犯の既往歴に、以前精神科を通院していた。だから人を殺すような人は精神病者ばかり」というレッテルを貼られてしまうと、当人達はますます社会復帰しにくくなります。 そこに何かひと言、著者からの注釈が添えられていた方が良かったのでは思います。偏見有りきところに、理解と共感を得るのは、やはり困難を要しますので・・・・・。

  • 80

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    私の母も統合失調症で、私が小学校の時に再発しました。著者に共感したのは、まず、症状が出たとき、それが病気なのかさえ分からなかったということです。まだ子供で、母親の言うことを聞くのが当たり前の時期。著者はまだ四歳で、その問題に対処しなければならなかった。著者と私が違うところ、私は長い間、父や祖母にまかせっきりにして母と病気から逃げてきました。精神分裂病から統合失調症と名前が変わっても、私にとっては「変わり果てた母」でした。しかし自分が母に時間をさけるようになってから、自分に余裕もある程度でき、病気について理解しようと思えます。社会、世間の統合失調症に対する見方はまだまだ厳しいものがあり、言い方を変えればえたいの知れない理解しがたい病気だと思われているかもしれません。私と母の間の壁が全くないかと言えばそうではなく、毎日が自分との戦いであり、思いやること、母のストレスを減らしてやり、且つ本人がいきいきと生活できるようにさせる努力はまだまだかもしれません。母と真正面から接することで、自分もたくさん母から学びます。家族と患者は鏡のようなものだと私は思います。統合失調症患者がいる限り、家族、そして社会全体も病気と患者一人一人への理解、柔軟な対応が求められています。この本が一見コミカルに描かれているのも、きっかけ、入り口を広げて少しでも多くの人に読んでもらおうということかな、と思います。

  • 100

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    「なんとなくおかしい」という状態で過ごしている人やその家族は、いったい日本にどのくらいいるのだろう。この本を読んでいて、一番印象に残ったのは、お母さんが繰り返し言う「恥ずかしい」という言葉。「恥ずかしい」から医者にすら真実が告げられず、「恥ずかしい」から誤認され、「恥ずかしい」から苦しい年月を長くしてしまったという記述は、あまりに、今の日本をありのままに表現していて、非常にショッキングだ。この本は、専門家の書いた本ではないからこそ、患者とその家族が等身大であり、共感性が高いように思う。「ツレがうつになりまして」でも思ったのだが、病気、特に精神の病は、「なんとなくおかし」という時期を積み重ねていき、気が付けば完全な病になっているという印象を抱く。知識が実態をかなり後追いしていくという状態になりやすいのだなあと思った。現実を生きていかなければいけないので、現実の反応に対しての対処法をきっと、患者も家族も何とか少しづつ見出そうとする。きっと、病気以外のことでは、そうして、何とかしている事が誰でも多いのだろう。でも、うつがある程度認知されたように、統合失調症も作者が言うようにもっと認知されるといいと思う。そうすれば、対処法も、初期の段階でもっと違うやり方を見つけられるのだろうから。この本を読んだおかげで、統合失調症の等身大での知識を得る事が出来た。作者に感謝したいと思う。

  • 100

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     統合失調症の方と仕事で接する機会があり、勉強のために購入しました。 この本を読んで、改めて、精神病の患者自身のためにも、患者を身近で支える家族が安定した状態でいることが重要であり、そのためには家族を孤立させない体制が不可欠であること(そして、家族自身も助けを求める勇気を持たなければならないこと)を痛感しました。 3分の2は、4歳でお母さんが発病してから20年間、著者が孤独に母親の病気と格闘する様子が、残り3分の1は、「地域生活支援センター」のスタッフと著者の夫との出会いにより、母子ともに救われていく様子が描かれています。 特に後半は、涙なしに読むことはできません。旦那さんの「一緒だから大丈夫。一緒に考えよう。」という言葉、きっと、患者を側で支える多くの方々の胸にも響くのではないかと思います。 ところどころ、高額療養費や障害者年金など実用的なことが盛り込まれており、患者や家族の方の参考になると思います。ただ、情報が若干古いので、その点は注意が必要です。 また、著者本人も書いているとおり、この本はあくまで著者が経験した一例を扱っているものなので、統合失調症という病気を勉強するには、より体系的な本を読む必要がありそうです。末尾で、以下の本を紹介していたので、そちらも読んでみようと思います。 統合失調症―正しい理解と治療法 (健康ライブラリーイラスト版)

  • 100

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    本屋で何気なく手にとって、衝撃を受けた本でした。「統合失調症」という病名は、聞いたことはありました。でも、こんな病気だなんて、全く知りませんでした。著者は、子供の頃から、突然包丁を持って襲いかかってくる母親と一緒に生活していました。ユーモアを交えて、さらっと書かれているので、さらっと読めてしまいますが、内容はかなりすごいです。それでも、子供だった著者が、理由の分からないまま必死で母親のことを支えようとする姿は、けなげ過ぎて涙が出ました。うつ病やアル中もそうですが、病気で一番やっかいなのは本人や周りが、その病気に対する知識をもっていないと病気だということに気がつかないまま苦しんでしまう事だと思います。だから、このような病気があるということは、みんなが知っておいた方がいいと思うし、そういう意味でも、この本は読む価値ありです。著者も、大人になってから、母親が治療可能な脳の病気だった事にようやく気がつきます。そして、さまざまなサポート体制や専門家の存在を知っていきます。その後、著者は結婚しますが、相手の男性は、優しく前向きで楽天的というこれ以上ないくらい素敵な人です。前半で著者の苦労を見てきているので、この人の出現で本当にほっとします。この人と出会うことで、母子が笑顔になっていく過程は、感動的です。読後は優しく暖かい気持ちになれました。

  • 100

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    なぜ 中村ユキさんの作品が読者を引きつけるのか。感動させるのか。考えさせられます。ビョーキといっても、昔は精神分裂病、今は名を変え「統合失調症」。禁断のことばでした。著者4歳の時、27歳の母は「ビョーキ」になってしまいました。その後の 体験が あまりにも正直に 率直に 画かれているのです。その勇気が読者に 希望を あたえてくれるのでしょうか。刊行されたのは2008年11月。著者は『コミックエッセイ』という 独自な分野を 創りつづけておられます。多くの人たちは 深い感銘をうけておられます。そして、日本社会で どう 生きていけば良いかを学びます。この書の後に、『わが家の母はビョーキです 2 家族の絆編』(サンマーク出版)が発刊(2010年5月)されています。さらに、『マンガでわかる!統合失調症』(日本評論社)を福田正人氏監修のもと発刊されています。(2011年6月) 少なくとも、中村ユキさんの『ビョーキ』の 作品は 現在 3冊は 入手可能です。勿論、当事者といわれる方々、家族といわれる方々に 勇気と希望をあたえる本です。すごい、知識と行動力をあたえられます。 精神医療、福祉にたずさわっている諸氏には 必読書です。 そうです。日本国民全員の必読書です。  ありがとう。頑張って下さい。著者と著者を支える人々に乾杯!

  • 100

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    自分の母がパチンコ依存になったことがありました。最近は被害妄想・幻聴(音楽)が聞こえるらしいのですが。子供の頃は暴力もあったので母を単に憎んでいました。そう考えると、著書の中村ゆきさんは子供のころからで一人で苦労なさったのだなといくつかのシーンで涙が止まりませんでした。そして、もう少し冷静に考えてみなければと思いました、つらいのは患者さん本人というのもゆきさんに教えてもらえました。沢山苦労されて、この本を出すにはきっと昔の記憶の掘り起こしなどつらい作業もあったと思います。漫画で読みやすく書かれている部分、地域支援センターや症状のことはグラフなどまとまっていて読みやすかったです。この本を読んで、統合失調症の方個人差もあるので全員が包丁を振り回すという偏見にはならなと思います。昔は「精神分裂病」といわれきちが○といわれた病名「統合失調症」となりました。新薬もでているようですね。ゆきさんが優しいご主人に出会えたのも、読んでいて嬉しかったです。先日、テレビでも特集番組も放送されましたね。続編も愛読していたので、面白くかわいらしいお母様のお顔を拝見したかったのですが、亡くなられたのですね。ご冥福お祈りいたします。きっとワンコちゃんと楽しくなさっていると思います。ありがとう。

  • 100

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    ほのぼのとしたマンガで書いていらっしゃいますが、内容はとても深刻で衝撃的な実話です。本屋でふと手にして内容に衝撃を覚えました。子供の頃から大変な暮らしの中で過ごされ、よくぞ、立派に成人され、職業につかれ、ご結婚されたと感動し著者に拍手したい思いでいっぱいです。私は先日、認知症の父が病気で手術をすることになり、一ヶ月半程入院し、母と妹と3人で毎日交替で看護していました。入院生活や手術の影響で認知症が益々酷くなり、私は仕事、家事、看護と毎日しんどくて、しんどくて、毎日憂鬱でしたが、この本を読んで、これぐらいの事でまいっていた自分を深く深く恥じ入りました。私はまだ母や妹と交替もできるのに…著者は無力な幼少期よりずっと一人でご病気のお母様と過ごされ、普通ならこんな人生耐えられない事です。私の父はこれから先益々認知症が進み、介護の事を考えるとこの本を読む前は憂鬱な気持ちでいっぱいだったのですが、今は前向きに父と過ごして行こう、こんな事は何の苦労でもないと思えるようになりました。月並みな言葉ですが世の中には、凄まじい人生を歩まれている方もおられるのだと、本当に衝撃を受けました。そして、耐えて一生懸命行きていれば、必ず光りあたる時がくるのだと教えてくれました。

  • 100

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    私は統合失調症ではなく違う病名の母親です。表紙の画像を見るだけでも壮絶な見たくない内容だろうという気がして、読むのが恐ろしく耐えられない気がしてました。クリニック関連施設に置いてあり、借りて自宅で読みかけてたら、子どもが、すごい速さで私より先に読み進んでいました。病気の母親の子供の気持ちに、共感できたようで、子供自身もあまりにも生きるのが辛くて筆者と同じ心境だったんだよ、と泣きながら、初めて本音を表にだして病気の母親の私に打ち明けてくれました。子供も、園児の頃から、だれにも甘えられない孤独な思いで、意識をすり減らしながら頑張り続けた日々だと蘇ってきたそうです。まんがを通じて、似た立場の筆者に共感して、苦しさを親子で理解しあえる事ができました。病気の親を持つ子供が、押し殺してきた辛さを、本の内容と、丸みのある、見ていて安心感の持てる画風で受け止めやすい。法律的に、病気を持つ家族がいるなら知った方が役にたつ事も簡単にまとめてくれてあり、親切です。小学生の子供が、読み、理解できて、孤独に抱えてきた思いを少しでも客観視でき、人間らしい感情を取り戻してくれた。私も治る病気ではないようですが、子供に苦しみを引き継がないように、役立つ貴重な本です。

  • 100

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    勉強道具の本を探していたらめにとまり、買ってみました。統合失調症を母にもつ作者が書いた本。当事者の声が、つまっています。「統合失調症」。言葉にしてしまえばそれまでの病気。訪問診療している内科のぼくでも時にその病気を持つ人を担当するけれど、ぼくが診させていただくようなひとは病気としては落ち着いているひと。たくさんのネコを飼いときにえさを買いに町におりてきたり、訪問すると車が見えなくなるまで見送ってくれたり。そんなふつうのひと。けれど、そんなひとたちにしかわからない苦しさがある。病態としてはいろいろわかるけれど、白衣の向こう側の生活の中の苦しさは、医療者には見えにくい。身内に相談しても逆に悲しくなる感覚とか、「死ぬのはいいけど…、イタイのはいやだ」と思う苦しさとか、「統合失調症は脳の病気」と医者から伝えられたときの安堵感とか…どんなサポートが助けになるのかもとても参考になります。マンガという、とてもわかりやすいメディアでユーモア交えてさらとかいてあるので、たいせつなことがとても読みやすい。たくさんのひとが、医療者・学生はとくに、読むべき本だと思う。

  • 100

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    ツレがウツになりましてでうつ病は有名になりましたが、統合失調症についてはまだ理解がされてないと言うのが現状だと思います。二大精神疾患と言うと、統合失調症と双極性障害(躁うつ病)と言われていますが未だ精神病は怖いイメージがあってかなかなか表立って語られる事は無いように思います。しかし、100人に1人はなる病気で早期に治療すれば社会生活が普通に送れること、生きていくことができる病気であることを理解することがまず大事ではないかと読んで感じました。人は必ず死にます。社会の中でどうやってみんなが幸せに生きていけるのか考えるきっかけになる大変良い本だと思いました。続編が出ていますので読んでみたいと思いました。漫画で読んでいると淡々とした毎日が送られていますが、介護するほうは大変だと思いました。親族で発症率が高いのも、高いストレスが原因なのではないかとも思えるほどです。介護問題と同じで社会全体でどう支えるのか社会問題だけれども皆がなる病気では無いので解決も理解もなかなか得られない現実があるのではないかと感じました。

  • 100

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    私は躁鬱病当事者です。娘がひとりいます。精神疾患をかかえながら子育てしている母親は子どもの性格形成に悪い影響がないかと日々心配していると思います。うちの子も生活音にビクっとして「ママ、大丈夫?」と確認しに来ます。私は包丁振り回したりはしませんが、目が急に三角になるところは、私も家族に指摘されました。目つきが変わるみたいです。マンガも同じだったので、びっくりしました。(違う病気ですが・・。)私もこのお母様に勇気をもらいました。私もまわりには「話してもわかってもらえないから言わない」という選択をとることが多いです。今はネットで同病の方と悩みを共有できますが、このお母様はどんなにか孤独だったことでしょう。私もマンガのように夜空の星がなぐさめになったことが何度もあります。何も言わないでくれるのが一番癒されるのです。このような書籍が出版されたことに感謝いたします。作者の中村ユキさんも子どものときから、甘えて、頼れる大人がいない状態で成人されて、ほんとうにご立派だと思いました。

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