祖父と2人暮らし、貧しいながらも心満たされた生活を送る少年マシューズ。彫刻に目覚めた彼が、至高の美を目指す青春を描いた表題作2編。ほか、ピアニストを目指す野望家の青年を描いた『ラストコンサート』、長らく幻とされていた読み切り『ふたりぼっち』を収録した、『Dr.コトー診療所』の山田貴敏が贈る、初期傑作短編集。
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60
sakuhindb
83年に週刊少年マガジンで掲載された山田貴敏先生の読切作品。病弱の祖父と2人暮らしの貧しい生活を送る少年マシューズは、ある日彫刻に興味を示し、次第にその才能が目覚め開花し、至極の美を目指して彫り進んでいく。「Dr.コトー診療所」で知られる山田貴敏先生の講談社新人漫画賞入賞作品となった初期の作品。西洋のある雪深い国に住む貧しい生活を強いられる少年マシューズが彫刻に目覚め、周りからいじめを受けながらも彫刻を彫り続けて、そして美術展で特選するという、天才少年が貧しく苦しい逆境の人生を切り開いて栄光を掴んでいく感動物語で、後の氏の連載作品「風のマリオ」の原型になった。背景は名作「フランダースの犬」を思い出させる感じのものだけど、佳境の境遇から生み出される力強さと優しさを作品にして人々に感動を呼び起こさせ、天才少年として新たな旅立ちの活路が開かれるという救いのあるストーリーに仕上がっています。もしかすると「フランダースの犬」における夢半ばで逝ったネロを救ってあげたいという気持ちが作者にあったのかもしれません。純粋に精一杯生きている少年に希望を与えてやりたいという気持ちが込められているような内容の作品でした。本作品は初期作ということもあって絵もストーリーもまだ雑ではありますが、感動ものとして出来上がっていますし、山田先生の出発点となった作品ということも考慮して【良い】とします。本作品の単行本には他にピアニストで名声を求める青年を描いた「ラストコンサート」と山田先生が講談社に投稿して新人漫画賞佳作となった処女作「ふたりぼっち」も掲載されています。これらはマシューズを含め、後の感動作品「Dr.コトー診療所」の基礎となる要素が含まれてます。
ネット上のイメージ
- 感動
- 教師
- 天才
- いじめ
- 優しい
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