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甘く切なく擬(もど)かしい、ふたりの長い夏の前日。――日吉ヶ丘(ひよしがおか)芸術大学4年生・青木哲生(あおき・てつお)。月下(げっか)画廊店長で、和服が似合う大人の女性・藍沢晶(あいざわ・あきら)。突き動かされるように体を繋げた一夜から、激しくも拙い恋愛が始まる――。

夏の前日

| 講談社(出版)

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Ebook販売元 : コミックシーモア

夏の前日のレビューが0 件あります

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89件のネット上の評価があります

  • 60

    sakuhindb

    【良い点】・絵・内容・テーマ【総合評価】どうにも埋められない孤独を抱えながら芸術と葛藤する美大生と、そんな彼を優しく見守る画廊の美人店員の恋愛話。まだ粗削りでとげの残る青年と、妖艶でありながらどこか少女の顔も持ち合わせている彼女との恋模様はアダルティックな艶めかしさと、10代の少年少女のような青臭い初々しさを絶妙なバランスで溶け込ませている。作者の前の作品である『恋風』がなかなか面白かったので、手に取ってみたのだが前作と比べると、絵が上手くなっており、これまた前作とは違ったクセの無いストレートな恋愛は万人受けするのではないだろうか主人公の哲生は、頑固な芸術家タイプで口数は少ないがその胸の内では様々な事を思案しており、自らの将来、本当に描きたいモノ、他者との距離などといった、若さの象徴でもあるかのような悩みに喘いでいる彼の姿は、誰もが在りし日に経験するようなほろ苦い思い出を想起させる。そんな青木を優しく見守る年上の彼女・晶がこれまた実にいい女で、いい女すぎて男を堕落させそうな危険因子は孕んでいるものの、こんな女性に愛されるというのは男冥利に尽きるであろう。火が灯ったばかりの彼らの恋愛はおそらく今が一番幸せな時期であり、読み手であるこちらもその高揚感に引きずり込まれてしまう。と、ここまでが『夏の前日』のみを読んだ時の感想である。ここからは、『水の色、銀の月』という作品も交えながら評価したい。『水の色、銀の月』とは作者のデビュー作である『水と銀』を含めたオムニバス作品であり、この『夏の前日』の数年後の世界が描かれている。『夏の前日』というタイトルはこの作品の前日譚という意味合いも含まれているのであろう。『水の色、銀の月』の中での哲生はあくまで、数あるエピソードの一主人公というだけなのだが、後日談であるだけに、さり気に本作のネタバレにもなっている。出版されたのは本作が後であるから、厳密にはネタバレとは違うのだが、哲生と晶の恋愛に陶酔したい読者にはオススメできない作品である。これを読んだ後に本作を読むと印象が180度変わってしまい、それまであった高揚感に翳りが差し、彼らが幸せであればあるほど切ない気持ちになってしまう。別の視点から見る事ができるようになったのはそれはそれで作品の味わいを深くさせているのだろうが、結末が分かっている恋愛と化してしまった今では、その終わりの形の方に興味が集中しがちになってしまった。ともあれ、どのような道を歩むのかはやはり気になる所。今は全く別の位置にある点と点がどういった軌跡を結ぶのか怖々であるが注視していきたい。

  • 80

    sakuhindb

    ひとつの出会いから恋が生まれて、終わりを迎えるまでを切実に描いた恋愛漫画。【良い点】・晶艶っぽさと可憐さを兼ね備えてた新感覚ヒロイン。気丈な晶が年下の恋人に対して威厳を保とうとしているけどその合間、合間にみせる隙が可愛くてしょうがない・構成後述しますが「水の色 銀の月」とのリンクのさせかたが絶妙。私としては作品の発表順に「水の色 銀の月」から順に読んでいただきたいですおそらく作者もそれを想定したうえでこの作品を書いているでしょうから【悪い点】・単作では良さを発揮しきれない「水の色 銀の月」を知らない人には普通の恋愛漫画でしかないかもしれません【総合評価】この作品は「水の色 銀の月」の後に描かれた前章譚であるため結末が判明している状態で物語がスタートしています。つまりネタバレの状態。普通であればネタバレというのは良い方向には働かないものです。しかしこの作品の場合は結末がわかっているからこそ引き寄せられてしまう魅力があり、何気ないシーンでもなんとも言えない空気感を生み出すことに成功しています。この手法は今まででもなかったのではないでしょうか我ながら悪趣味な気もしますが、知っているからこそ、それがどう崩れていくのか目が離せなくなり知っているからこそ、その出会いと2人の時間はとても大切でかけがえのないものにも感じることが出来るのです。デッサン系の作画とキャラクターデザインに、淡い色彩の表紙も相まって、その切ない雰囲気の表現はもはや芸術の域華海に揺れ動く哲生の心。そのさりげない変化に気がつくも気丈に振舞う晶には胸を締め付けられそれとは対照的に屈託のない笑顔を見せる華海にはやりきれない気持ちになってしまいます甘えることなく大人であろうとした晶と、甘えっぱなしで大人になれなかった哲生。どちらかが歩み寄っていればまた違った結末を迎えたのかもしれません。出会いだけではありません。別れというのも、これまた紙一重なのだということを切なげに語ってくれていました評価は限りなく最高に近い【とても良い】とさせていただきます

  • 100

    sakuhindb

    <ネタバレあり注意>『水の色、銀の月』のスピンオフであるが、作品としての魅力は圧倒的にこちらが上。何より「晶」。本作のヒロインである彼女の魅力はとても語れそうに無いので、未読の方は是非読んで欲しい。『水の色、銀の月』では登場人物全てが一応イイオトナになっているので、そのつもりで読み出すと、実はこちらはその数年前のため、(顔は同じでも)かなり子供だったりする。晶と本編彼女とが並行世界になるかもとか思っていたのだが、実は晶は青木に「恋愛というもの」を教えてくれる人、の位置づけである。子供である青木を愛する晶と、様々な自覚が出てくる青木のすれ違いは青木が大人になることで終焉を迎える。ここが「海外に移住」とか陳腐な切っ掛けでないところが良い。別れを受け入れたときの表情、最後のセリフ、どれを取っても晶は最高のヒロインだ。・・・・そして、晶を捨ててまで選んだ相手は、『水の色、銀の月』でも分かっているとおりの筋金入りのビッチ。青木君の迷走は多分この先も続くのだろう。「若さ」の特権を贅沢に使い切った作品だ。

  • 100

    cmoa

    【このレビューはネタバレを含みます】 一冊あたりは高いと思うかもしれないけど、全然惜しくないほど良いストーリーですよ最初の1巻目は、独特な絵のタッチで「うーん…ちょっと苦手かも?」と思うのですが、画力と全体的なノスタルジックな雰囲気、そして哲生と晶の心理描写に惹かれて2巻3巻と読み進めるうちに…私は晶のことが大好きになりましたこんなに強く、美しく、哲生のために深い愛情を注ぎ、私欲は捨てて…なんて素敵な女性なのだろう。憧れちゃうくらい。なのに哲生は…晶は常に気丈な振りをしていて、めちゃくちゃ切なかった本当は崩れそうなのを耐えているんだよね…4巻と5巻は号泣ですHなシーンですら切なすぎて泣ける華海は小悪魔すぎやしませんかね〜〜そして哲生の野郎…(笑)全部読み終えたあと、また1巻を読み返すと「あ〜そうだったんだ〜!」と思える場面がいくつもありますので、何度も読んでほしい

  • 70

    manga_review

    将来どうするのか決める時期にさしかかった美大生、哲生。
    画廊に勤め、エッセイも書いている大人の女性、晶。

    大人っぽい見える晶もどこか子供っぽい表情を見せ、哲生は必死で背伸びして、突っ張って、でもやっぱり子供っぽい。
    お互いむさぼるように関係を持ちながらも、なぜか入り込めない微妙な距離がある。
    そこにひっかかるのは、女の子の存在であり、年齢であり、仕事であり、男としての見栄であり・・・お互い素直になれないし、喧嘩もなかなかできないですね。

    この作品に続く「水の色銀の月」が先に発表されているので、この二人がどうなるかの結論は出ていますが、どうやってそこに向かうのか、丁寧に描いてほしいと思います。

    それにしてもやっぱり和服の女性。エロい。
    男性の憧れ?・・・でもわからなくはないですね。

  • 80

    cmoa

    【このレビューはネタバレを含みます】 がするのは、晶が和服美人だからか。全体的に昭和な香りがするけれど時代設定はそんなに古くないのかも。一組の男女が出会って関係を持って、脆くて美しくて、切ない愛のかたちがそこにあります。お互いに愛しいけれど、結局、同じようでいて二人の気持ちはちがかったんだよな。青木くんは芸術科で純粋で繊細で無愛想、その不器用なところが可愛くも見えます。だからこそ、気づいた気持ちが溢れだしたら止まらなかった。後半はそれがどんどん明らかになる。穏やかに流れていきそうだった二人の時間が迎える結末は…。ハッピーエンドとは言えないけれど、いっそ爽やかさも感じられるような、一歩大人になった彼の表情にハッとさせられるラストだなぁと思いました。

  • 60

    cmoa

    【このレビューはネタバレを含みます】 絵自体は最近よくある流行りの絵柄だと思いますが、影を細かく書き込んだりしていて他と差をつけている感じがしていいと思います。和服の女性が出てくるので作品の雰囲気にもとてもあってると思います。
    ストーリーはまぁ読み終えればそんなに凝ったものではなかったです。
    とはいえ、はなみみたいな女って現実に普通にいると思うと怖〜気をつけようと思います笑
    はなみの考えなしの言動がなければ、だらだらとしていても晶とはいい関係が続いていたと思います。

  • 100

    cmoa

    【このレビューはネタバレを含みます】 無料分を読んで物凄く気になり思わずコミックス全巻購入してしまいました。
    皆さんのレビューで幸せな結末じゃないのは知っていましたが、とにかく切なくて4巻、5巻は泣きました。
    晶は自分勝手な男が好きだって言ったけど、哲夫は自分勝手すぎるよー。
    哲夫がはなみへの思いを募らせる程辛くて切なくて。
    この結末だから素晴らしい作品なのは理解していますが、大好きな作品だからこそ幸せな2人の未来を想像したかった。

  • 80

    cmoa

    【このレビューはネタバレを含みます】 芸術的な映画を見たような気持ちにさせてくれる話だが、主人公の男らしくないモヤモヤウダウダする感じが最低。二枚目だから素敵に見えるけれど、やってることはかなり酷いよ…。そしてハナミにルックス以外で惹かれる意味もわからない。うるさいだけの面倒な女。
    破局したからこそ美しい恋愛が描けたのだろうけれど、なんだかなぁというやり切れなさも感じてしまった。
    そこがむしろリアリティなのかな。

  • 100

    cmoa

    【このレビューはネタバレを含みます】 人を好きになったり嫉妬したり、恋愛や仕事や人生上手くいかない事がある中で、心の支えになる人が確かにいたなって思い出させてくれる話でした。ラストの晶の気持ち、すごく良くわかります。なんて二人らしいラストなんだろう・・・。バッドエンドは嫌いだけど この作品は読み返したくなります。人を好きになるって難しくて切ないですね。

  • 80

    cmoa

    青春ど真ん中のモヤモヤマンガと思って読み進めると
    …最終巻、そして、最終話で不覚にも号泣してしまった。青春モノ(アダルトok)で、さくっと読める冊数で、じんわり心動かされるようなマンガをお探しの方にオススメ。全五巻で、分量としては…腹七分目?くらい。やや物足りないけど、もたれないくらいの分量で、完結ものとしても、まとまっている方の作品だと思います。

  • 60

    cmoa

    【このレビューはネタバレを含みます】 年上の和服美人からモーションかけられセ ックスして好きになる。でも同じ大学に気になる女の子がいて…でも年上女との関係は続ける。

    まぁ年上女とは、女の方から近づいてきたんだしもらうものはもらっておくって感じなのかな。好きだけどそれは愛ではないんだろうな、って読んでておもう。

  • 100

    cmoa

    【このレビューはネタバレを含みます】 全巻読み終わったあと、切なくなってしまいました。晶とくっついてほしかった、、、別れの時の晶の対応も大人の女性って感じで、でも無理してる感じが伝わってきて悲しかった。
    ハッピーエンドではないですが、晶にはこんな男より別の誰かと幸せになってほしいと願うような作品でした。

  • 50

    manga_review

    良作だとは思うんだけど、正直言ってちょっと微妙。

    美術系という特殊な舞台な点を考慮に入れたとしても、
    ちょっと説得力に欠ける展開が多いような気がしないでもない。
    ストーリーの本筋もなんかボンヤリしている感じ。

    あとは性描写をここまで濃密にする必要があるのかなあ。
    現時点では5点。あとは今後の展開次第。

  • 80

    cmoa

    【このレビューはネタバレを含みます】 最初は絵のタッチに違和感があったけど、すぐ慣れて引き込まれて、画力凄いなって思いました。続きが気になったけど、皆さんのレビューみてハッピーエンドじゃないと知り、続きはまたおいおいにします。年上ネェさんを大事にして欲しかったです。違う
    リアルはいらない。

  • 100

    cmoa

    【このレビューはネタバレを含みます】 漆原友紀さんのような雰囲気の絵がとても魅力的です。普段から和服を着こなすヒロイン、本当に良い女ですね、素敵。主人公は常に悶々としていて他人にあたる…しかしイケメン。芸術家って難しいんだなぁと思いました。とりあえず無料ぶんですが、続き読んでみたいです!

  • 100

    cmoa

    美大生と和服の年上美女との恋。
    ヒロインの晶さんがとにかく魅力的!芯が強く、優しくちょっと(かなり?)エッチで女性から見ても最高のヒロインです!
    主人公は、絵に女性に就職にひたすらフラフラ悶々していて、イラつきます。でもイケメン。
    しっとりした大人の恋に、胸がドキドキして続きが気になります。買って損なし!

  • 100

    cmoa

    まず好き嫌いに関してはこの作品の持つ雰囲気が好きな人は気に入るかと。反対に何も感じないなら読まなくていいです。

    タイトルにもある夏直前の鬱陶しさ、気だるさを巧く表現した傑作だと思います。上手く言えないけど哲生の苛つきと苦悩、晶の可愛らしさ、ふと現れる華ちゃんの存在にただ引き込まれるばかり。面白いです。

  • 40

    cmoa

    【このレビューはネタバレを含みます】 絵柄は漫画というより美術という感じです。漫画としては線が頼りない。人によってはかなり読みづらいと思う。1巻の時点で嫌な予感がしたのでレビューを読んでやはりと落胆。ハッピーエンドではないようなので続きは買わないです。

  • 100

    cmoa

    現実的なような妄想のような、とてもありきたりに思える部分もあるようなないような、不思議な空気でした。
    もう少し歳を重ねた後に読んだらまた違っていたかも。
    すべてが綺麗な丸で収まるわけではないんだなと哀しい気持ちにも、共感する幸せな気持ちにもなれました。

ネット上のイメージ

切ない
恋愛
独特
エロい
幸せ

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