時は寛政、江戸も半ばを過ぎた頃、「備前蜂」の紋を掲げた岡山藩熊田家藩主・治隆(はるたか)は、家臣と人足たち数百人を引き連れて、参勤の旅に出た。行列には、治隆を疎んじる幕府老中・松平定信(まつだいら・さだのぶ)の密偵も紛れ込む。江戸までの道のりは、その距離以上に長く、波乱で満ちていた。
- 年代: 2009年(完結)
- 巻数 5巻
- 掲載誌 モーニング・ツー
- 出版社 講談社
- ジャンル 歴史 、 青年マンガ 、 江戸時代(武士・時代劇)
つらつらわらじのレビューが0 件あります
レビューを投稿する23件のネット上の評価があります
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100
amazon
武家物/時代物と云えば、合戦やチャンバラ、もしくは捕物帖あたりがポピュラーであろうか。しかしこの物語は全編、地味な参勤交代だけを中心に進行している。ストーリーの軸は退屈な、官僚化してしまった武士の陰鬱な政治劇である。マンガと侮ることなかれ、表舞台の一つ後ろで繰り広げられる攻防とそれを描写する鮮やかな手腕は、凡百の時代小説とは一線を画している。絵柄・ストーリー構成の独特な癖から、一回ざっと読み通しただけでは、誰が誰なのやら、道中いったい何が起きているのかさっぱり分からない。しかしそれぞれの立場に応じた登場人物たちのスタンスとそこからくる「語られない」本音が推測できれば、読み返せば読み返す度に新たな発見があり、スルメのように味わい深い、とてつもない傑作である。歴史資料の丹念な読み込み、それに基づくしっかりとした世界観・ドライな人間描写・綿密に張られた伏線・スタイリッシュな視点とウイットに富んだユーモア、どれを採り上げても一級品である。第5巻である本書にて、物語は大団円を迎える。道中ゆっくりと成長してきた次世代の家臣たちがやや性急に「出来上がってしまった」感はあるが、本当に「粋な」殿様にもう会えないかと思うとさびしい限りである。
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100
cmoa
他の方がレビューに書かれているように、こちらを物語にぐいぐい引っ張るような、分かりやすい物語構成ではないかもしれません。ので、読み手を選ぶお話だと思います。
ですが、ほんの少しお時間を割けるのならば、間違いなく、今までみたことのない物語を味わえます…まったりゆっくりじっくり味わえます…
もし。オノナツメさんの作品が好きならば、江戸時代ものに惹かれるなら、参勤交代を血の通った物語で学びたいなら…、全身全霊でお薦めしたいところです<(_ _*)>
読み進むうちに、人物の見分けもつきますし、何より、殿の、御家老衆の、小姓頭の、お庭番衆の…、たくさんの人の想いがざわざわと伝わってきて、まさに一筋縄ではいかない参勤交代となります。
本当に。一人でも多くの方に読んでいただきたい逸品だと思います。
あ。誉めすぎですか?(((((゜゜;)
いや、評価があまりに低いので、つい声高になってしまいましたが…。
…この物語を、誰かと分かち合いたいものです(^-^) -
100
amazon
最後の巻になります。この話を一番最初に手に取った時に「参勤交代の話??」と思ったのを思い出しました。オノさんは一体どんな話で進めていくつもりなんだろうと思ったものです。 参勤交代には沢山の人々の思惑が絡まり、それは江戸や国元を含む政治の駆け引きの話でもあるし、共に旅する数百人の者たちの中の話でもあるし、通り過ぎる土地の人たちとのドラマでもありました。若き家老の和泉はその中で、青臭い鼻持ちならない若造から、殿の背中を仰いで見る眼差しを持つ青年へと成長しました。そして殿は、最後まで殿らしく実にあっぱれな姿で終ってくれました。 ありがとう。そして、さようなら。 読み終わったときにもう殿には二度と会えないんだなと思うと、今まで自覚してなかったひどく寂しい気持ちが湧き上がってきました。「あの殿様がおらんようになるなどつまらんわ!」その言葉が表すようにこの話を読んでいる間、きっと自分はその数百人の中で殿と一緒に旅をしていたのかもしれません。
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50
manga_review
話の展開が遅いので、三巻になってやっと話が見えつつある、という感じです。今のところ、戦わなくなった時代の武士社会のチマチマした体面を気にした部分が前面に出ている段階です。幕府に目をつけられているという設定の殿様の人物像がやっと見えだして面白くなりそうなところですので、もう少し話が進むのを待ってから読む方が面白いと思います。評価は今後の展開で変わると思います。
追記 終わってみると殿様に魅力を見いだせるか否かがこの作品が好きになるかの分かれ目だと思います。殿様の魅力は3巻以降から見られるようになりますので、読むのでしたらとにかく3巻までは読んだほうがいいと思います。
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80
cmoa
若い和泉くんが家老となってしまい参勤交代で江戸に向かうお話なのかな。生真面目さからの憂いも良さげ。
いろんな立場の人達のつぶやきから思惑や人の温かさや若者を育ててる感がわかり、どう話が転ぶのか面白そう。
お殿様が魅力的。幕府からは変わり者扱いされているけど、和泉くんを育てようとしてるし、下の者達からの信頼は厚い人みたい。
たぶんすごく好きなテーマだけど、私には億劫。もっとストレートにストンと心に落ちてきて欲しいなぁ。もう少し入りやすい構成で読んでみたかった。
あとこれ、プロローグが一番読みづらいと思うんですよね〜。開いてアレルギー反応起こす人多そう。 -
100
amazon
参勤交代の道中を中心にした物語で歴史好きの方にお勧めですが、特に目新しい情報が得られるという訳ではないと思います。道中の出来事だけでなく、備前岡山の城に残った人、江戸で殿様の到着を待つ人々など、それぞれの思惑まで描かれていて、登場人物の魅力がだんだんと引き出されていきます。最初は主人公たちに敵対するような人物でも、その人の事情や思いが書かれているところが救いです。モデルとなった実在の人物がいるそうなので、それらの人物の周辺を描いた文学作品も読んでみたくなりました。この作品の良さを解る為には、是非5巻まで読むことをお勧めします。
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100
cmoa
私はすごく面白かったのだけど、レビュー評価が低いみたいで残念。
熊田藩のゆく末や越中守様のゆく末がこうなりましたと明確に描かれてなかったのが意味わからんと思われて低評価なのだろうと思いますが、
私としてはさてこれからどうなるや?で終わったのも楽しく思います。
サブタイトルの通りに参勤の道中の絵巻と思えば、その後の顛末はこの作品の中に納められずとも納得です。
オノ先生の描く人物像を楽しむのが好きな方には楽しめるかと。
事件と解決を求める方には不向きかと。 -
100
amazon
と思わず声を上げたくなるような、見事なラストでした。モノクロで、しかも簡略化されたキャラクターが動いているだけなのに、そこには鮮やかな青空が広がっているような気さえするのです。1巻を読んだ時には、テーマが地味だし、キャラクターの造形に慣れなくて戸惑いましたが、慣れるにつれて物語に引き込まれていきました。実際に殿のような方が上司だと大変だなあと思いますが、そこがまた殿の魅力でもあります。とても天晴れな大団円です。
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20
manga_review
江戸時代の参勤交代が舞台だなんて面白そう!と
思ったのですが… もうちょっと時代背景とか参勤交代の
ルールなどの説明があればよかったのに、それがない上に人物関係
なども分かりにくい。
1巻しか読んでないので物語はこれからなのだと思うのですが
分かりづらさと、話に魅力を感じられなかったので続きはいいかなぁ。 -
80
cmoa
さらいや五葉が好きで ふたがしらを読んでみましたが酒を飲んで暴れるのが苦手で読むのをやめました。つらつらわらじは参勤交代の話で独特の空気、間、葛藤がとても良かったです。ただ、退屈に感じる人もいると思います。ふたがしらは実写ドラマ化しましたが こちらは映画化して欲しいくらい好きです。
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100
amazon
ディフォルメの利いた可愛い系の絵柄なのに、この作家さんが描く漫画はどれも映画のように深く感動的で色っぽい。全5巻読み終わったときには、備前熊田のお殿様に恋してます、かなりの確率でv痛快なエピソードと痛快な人物譚に触れて癒されたい人におススメ^^
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20
cmoa
人気作品をたくさん描かれてるオノさん。
独特な絵とストーリーを描かれる方って、どっかで流れが変わる地点がある気がする。
それが今なのかな、と思いました。
「読もう」と思わないと読めない。
読ませて、ひっぱってくれるマンガじゃないなと感じました。 -
100
amazon
1回目読んだとき、すべてを読み取れませんでした。なので、5巻続けて、何度も何度も読みました。その度に、新たな発見と感動。青年のまっすぐな成長。そして武士のほんものの矜持。オノさん、すごすぎ。人生何回やってるんだろう。。
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40
cmoa
ひたすら江戸時代の参勤交代の道のりの話っぽいのですが、淡々としていて、一巻の途中で飽きてしまいました(>_<)読み続ければ面白くなるのかな?絵も独特です。デフォルメされてる感じ。(可愛い、といえるのかどうか…)
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10
manga_review
面白そうな雰囲気を醸し出しているが実際読むと面白くない、そんな漫画。
セリフの殆どが説明ゼリフ。こんなんでキャラも筋も見えてくるわけないでしょ。
編集者は何をやってるんでしょうか。素人みたいな仕事。 -
100
amazon
箱根坂のトラブルにびっくり。でも、転んだ所にも、発見がありました。江戸での大団円、さすが備前少将。読後感爽やかな良作でした。漫画で久々に納得しました
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100
amazon
きっちりと完結です登場人物それぞれを書ききってのすばらしいエンディングだと思います全体としての長さもとっつきやすく、心地よいよいん
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40
cmoa
時代劇は好きですが、この作品はなんだかとても複雑でストーリーが分かりづらかったので、読んでいて頭を抱えてしまうぐらい疲れました。
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100
amazon
参勤交代がここまで情にあふれ、面白い話になるとは。オノさんは海外ものに定評があるけど、時代ものも情緒豊かに描かれます。
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100
amazon
最後まで貫かれる、少将公の思想。各々の思惑が交差する中、すばらしいフィナーレを迎えています。みんな、かっこいいです!
ネット上のイメージ
- 江戸
- 独特
- 成長
- 歴史
- 感動
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