鈴木一郎(父)が単身赴任から帰ってみると、母はアルコール漬け、姉はクスリで朦朧としセックスやり放題。しかも、家のなかには不良が入り込んで好き放題をやっていた。すっかり荒廃した家庭を見た父は半狂乱になり…。愛と平和、セックスと暴力――「家庭」こそが、第3次大戦の戦場だった。大反響を呼んだ20世紀最高最後のネオ・ホームドラマ!!
- 巻数 4巻
- 掲載誌 ビッグコミックスピリッツ
- 出版社 小学館
- ジャンル 青年マンガ 、 ヒューマンドラマ 、 お色気
ありがとうのレビューが0 件あります
レビューを投稿する40件のネット上の評価があります
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70
manga_review
序盤から最後まで衝撃的な作品でした。
ムチャクチャな展開ばかりですが、冒頭の家庭に関する引用とラストの父の最期が繋がっていると感じ、作品を通して伝えたいことが少しは理解できた気がします。
ただ、お父さんの「ありがとう」の言葉の想いは、まだ子供側である自分には100%の理解はできていません。
そのため、思春期まっさかりで反抗的な貴子にひどく共感できました。
自分も父親や家族に対する苛立ちや距離感を感じているから、言いたいこと言ってくれてたと思います。大学生にもなってそんな風に感じてしまっているのは長すぎる思春期で問題あるかもしれませんが、家族への嫌悪感は誰でも一度は感じるものではないでしょうか。
この漫画のような単身赴任で距離が開き、無責任で空回りした父親ってほど過度なシチュエーションではなくとも、親や家族に対して綺麗な想いだけで過ごしてきた人は少ないと思います。
同時に、家族の絆を取り戻そうと頑張っていながらも空回りな結果となってしまうお父さんもまた印象的でした。
解散、という結論は非常に効果的でナイスアイデアだと思います。
独り暮らしして初めて親のありがたみが分かる、なんて言われるけど、大学に入って1年独り暮らしして、また家族で暮らしてみてじゃあ以前より感謝の思いが強まったかと言われれば、何とも言えません。
でも「オヤジは相変わらずうるさかったが、そのうるささも気にならないほどだった」というのは凄いわかる。それがオヤジの変化なのか自分の変化なのかはわからないけど、たぶんそれは「家族」に対する理解が深まったということなのだろうな、と思います。
不良が出てくる序盤は読んでて非常に心苦しいけど、後半のエセ宗教やいじめは落ち着いて読めました。
記号的なキャラが多く、家族以外のキャラは役割付けられているのですが、カクマだけは結構掘り下げて描かれているのが嫌でした。
最初の展開(強姦、暴力、崩壊した家族、犬殺し)は本当に強烈で容赦がないけれど、エロ描写に関しては18禁の同人やアダルト漫画の追随を許さない過激さや情熱がこもっていて、芸術とまで評されるのもなんだかわかる気がします。 -
70
manga_review
私も白い犬さんのレビューに興味を持ち読んでみました。
主人公(お父さん)の立場にたって読んで、極めて悲惨な体験をさせてもらいました。漫画文化の重要な一面だと思います。あと思ったのは最後まで読んで良かったということです。
私はこの漫画には年齢制限が必要だと思います。たとえ性交場面に厳重なモザイクを施したとしても年齢制限をすべきだと思います。
正直言って読んでて辛かったんです。
心にだってきっと育つのに必要な順番があります。絶望とか孤独とか理不尽とか憎悪とか破滅とかそういったものを知り学ぶ前に、必ず知って味わって体感しておかなければならない事がある筈です。
個人差も大きいでしょうし一概に早い遅いで片付けるのも難しい事ではありますが、いちおう最低限の年齢制限を示しておくのが社会の良心であると思います。
なぜか最後まで貞操は守り続けた妻、身を持ち崩しもせずにありえない頼もしさで立ち直りつつある長女、父に対する心は真っ黒でありながらも逃げずに正面から相手をしてた次女。
一家の破滅に際し肉体的にも精神的にも真っ向から立ち向かい戦い続け、ついには終わりまでをも自分の思いどうりにさせてくれた家族に対し、父は臨終の際に枕元で「ありがとう」とつぶやいて息を引き取る。
それらのことで一体なにがどうであれ、自分の中において感謝をもって完結させることが出来た者こそがそのことの勝者だと思います。 「ありがとう」 がいいたいことの一つにそんなことがあるような気がします。 -
80
cmoa
【このレビューはネタバレを含みます】 雑誌連載当時、暴力的な性描写や理不尽な暴力、何よりも醜悪なひとの姿に衝撃や嫌悪感を受け、かつどこかに惹かれて読むのを止められなかった作品です。
久しぶりに読むと、家族のずれっぷりや、それに気付かぬままもがく父親、無気力な母親、一番現実的に見えるけれど迷う娘(妹)の悲哀がより印象に残ります。
作品上のこととはいえ、彼らの悲惨な状況にあまりに無関心な警察や学校関係者はいかにもありそうで、現在でも通じるものがあるでしょう。
一巻を読んでの低評価が目立ちますが、最後まで読んでからのやるせなさと、からりとした謎の結末が癖になります。
一種の、家族を核とした現代文学であるのだろうと思います。
ただし、既存のレビューで触れられているように、いくつかの悲惨な事件がモチーフにされているようで、中学生以下にはお勧めできません。 -
70
manga_review
単身赴任からお父さんが帰ってきたら家は不良のアジトになっていて
母はアル中長女は薬漬けで性的玩具と化し次女は自慰行為を不良に
写真にとられて、としょっぱなから救いがない。
で、お父さんが命を張って我が家の平和を取り戻す・・・という
お安い話にならないのが山本直樹。
一応不良は追い出したもののお父さんががんばって家族を再生しようと
すればするほど家族の絆というものが幻想であることがわかってきてしまうという、深いよ山本さん。
連載当時作家の柳美里が絶賛していたのが印象に残っている。
彼女も家族の絆に振り回された生き方をしていたからであろう。
家族の再生をあきらめてそれぞれ家族が好きなことやってときどき集合して旅行いったりしたりしはじめたときにお父さんは死ぬ。
最期の言葉は「ありがとう」。このためのタイトル。
山本直樹に完敗。 -
90
manga_review
露骨な性描写が気持ち悪い。(無ければよい、と言うのではなく、描き方が生理的に合わなかった。あんなにモロでなくても、表現はできるだろうに。作者の趣味だから仕方は無いけど。)
それさえなければ本当に非の打ち所の無い作品である。
登場人物全てが理性的なところ、狂っているところをもっており、しかもその「狂っているところ」こそが、単なる個性を越えて、今の日本社会の「豊かなんだけどどこか壊れている」といった感じを上手に反映させている。
この作品全体からは、どこにでもいる「善人」に対する強烈な怒りを感じる。もちろんこの場合の「善人」は、
表面は問題の無いように取り繕い、肝心の臭いものにはふたをし、他人に対しても自分自身に対しても嘘をつきながらだましだまし生きていて、しかもそのことさえも認めようとしない「善人」である。 -
70
manga_review
たんたんと進んでく鈴木一家の数年の物語。
家族って一番近くにいるけど一番分かりあえない存在なのかもしれない。
じゃあ家族ってなんだろう?って考えさせられた。
心神喪失してしまったお母さん。さんざんな目にあっている姉。思春期まっさかりの妹。ただ家族を守り抜こうとするお父さん。
みんながしたいことをするという決断をしたお父さんの答えはよかったのか悪かったのか分からないが、さまざまな困難を乗り越えて解散するっていうのは鈴木家にとっては最良の決断だったのだろう。
お父さんの家族に対する気持ちが泣けてくるところが随所に合ったり、お父さんの異常ともいえる家族愛には感動させられた。
いろんな意味で衝撃的な作品だった。 -
60
manga_review
強く心に残る作品ではあった。何年も前に読んだが今でもはっきり覚えてるシーンが多い
一度読んだら忘れられない作品なのは確か
でも嫌悪感がそれを上回った
中学生の頃に読んだからか単純に長女が可哀想すぎるだろ、と思った
物語の構成上、家族一人一人にいじめや宗教など様々な社会問題エピソードが割り振られているが、その内の「性的暴力」関係の問題を長女一人でほぼ一手に担いうけている
あまりに悲惨すぎて、物語を十分楽しめなかった
裏を返せばそれほど演出力が優れてるってことだけど、もうやめてやれよっていうね
まあ興奮したことも事実なんだけれども -
80
cmoa
学生の頃に雑誌で読み、前半のあまりの悲惨さに耐えきれなくて読まなくなった作品。ハンパでなく悪質な不良グループに目をつけられボロボロにされる。「お前は俺達のトイレとして生きてくんだよ。一生」ってセリフに心底ゾッとしました。お父さんは必死に家族を守ろうとするけど、不良グループのリーダー格は有力者の息子で、警察も役に立たない。その辺で読まなくなり、後味悪くて何年経っても忘れられなかった。今回、一応穏やかなラストだったことを確認し、すっきりしました。明るく楽しい話って訳じゃないけど、いい作品だとは思います。色々考えさせられました。
-
80
cmoa
最初は暴力的で悲惨で見てられなかったです。
しかし見続けていると何か引っかかります。
束縛を勘違いし自由という放置をしたり
空気を読み過ぎて、自らを封じてまで卑屈になったり
心配を言う名の好奇心で近づく偽善的なやつら
そんな世界を拒絶するかのような
はちゃめちゃな展開と家族なんだけど
なにやらどんな家庭よりマシに思ってしまったのは
気のせいでしょうか?
まだ見終わったばかりで頭が整理出来ていませんが
率直な意見がこれでした。
どんな事が起きても死ぬ時に全てが解る。
私も ありがとう と言いたいですね(*゚▽゚) -
60
cmoa
ページ開いたが最後。って感じです。なんかもう、こりゃどうなってんだ?って感じで最後まで読んでしまいましたが、結局なんだったんだ?と思ったまま終わってしまいました。結構評判のいいマンガのようでしたが、最後のあれが唐突すぎて、え?みたいな。
いや、まぁ言わんとすることは分かるけど‥なんか高低差あり過ぎて‥っていう。つまらなくはないんですけども。哲学的って一言で済ませられる作品なんですかね?これは。うーん‥少なくとも物語に出てくるキャラクターは、現代にとっても合っていると思いました。今の時代を予期したのか?ってくらい。 -
80
cmoa
初めから衝撃がすごすぎて、えー!!!と思っていたのですが、意外と一見普通にしてる家族が、問題を抱えて、もがいてる様子がリアルでした。
自分(父)1人が『理想の家族』を取り戻そうと、頑張っても、他の家族が協力することなく、空回りばかり。
でも、諦めることは絶対しない。最後まで家族のことを考えたお父さんの愛に感動しました。
衝撃的すぎて最後まで読めるかな。と思ってましたが、気になってしまって次々読んでしまいました。
ずっと気になっていた作品なのですが、なかなか勇気が出ず…、でも一度読んてみて良かったと思います。 -
100
cmoa
しょっぱなからスゴイ展開で、54話分もどう続いてくんだろうと読まずにいられなかった。
こういうタイプのものは、途中から意味不明になったり、無理矢理つじつまを合わせようとしてつまらなくなったりすることが多いが、これは最後まで引き込まれた。
一緒にいてもバラバラな家族、バラバラに暮らしていても家族は家族。
ラストは哀しくもあり、優しくもあり、物足りなくもある。
「家族」を必死に守ろうとしたお父さんは「家族」から守ってもらえていたのだろうか。このお父さんを愛おしく思う。
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70
manga_review
序盤の展開が残酷すぎて読むのが辛い漫画です。
連載当時は痛々しすぎて読むのを止めてしまった。
お父さんが単身赴任から帰ってくると、家族がみんな壊れている。
家族の絆を再生しようと奮闘するお父さん、ただひたすら空回り。
見事に現代の家族や社会を象徴する内容となっている。
性描写・暴力描写がある以前に、精神的に来る内容なので、
無理して読む必要はないと思うけど、
機会があれば読んでみる価値はある漫画だと思う。
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70
manga_review
東京都が制定した条例に照らし合わせたら100%NGな作品です。
エロいしグロい部分もあります。
ただ、この作品をしっかりと読んで、その上で「青少年を守るためには発禁」という判断をするのであれば、マンガというメディアはあまりにも偏見があると言わざるを得ません。
序盤の酷すぎる展開があり、最後に綺麗な形で終わる・・・。
素晴らしい作品であるのは間違いないです。 -
80
cmoa
この作家さんなのに(失礼?)救いと希望のあるラストが用意されていて、ほっと安堵しました。
淫靡なセックスと目を覆う暴力の山本作品、シュールな描写と破綻寸前のラストがとにかく好き!ゾクゾクする!その領域でこそ氏はオンリーONEとなる!
というタイプのファンの方にとっては駄作に映りそう。
上手く「日常的なもの」をアレンジした佳作だと、個人的には思います。
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60
cmoa
ストーリーは序盤からはちゃめちゃで、薬中の姉ちゃん、アル中の母ちゃん、世の中を冷めた目で見る主人公。そんなグダグダな家族を人間くさいお父ちゃんが自分なりに束ねようとするお話。
けっこーグロいし、無茶苦茶だけど、最後まで読んで少し良かったと思いました。お父ちゃんの伝えたかった事とは?本当の家族の絆って何?でも、自分はこんな家嫌だ(笑) -
100
cmoa
【このレビューはネタバレを含みます】 父が家族を何とか守ろうと孤立奮闘するお話です。
でも家族って難しい。人間て結局自分勝手なもので、上手くまとまるなんて出来ないんですよね…
最後はみんなバラバラになりますが、離れても心が帰っていく場所というのが家族と言うものなのかなと思いました。 -
60
cmoa
無料版読みました。これは、30年位前に起こったある事件に似ているところがあります。複数いた未成年の犯人は捕まり、刑の軽い人が出所した後TVのインタビューで当時の状況や今の自分について語っていました。想像を絶するような被害者のあまりの悲惨さに、夜中に目を覚まして声をあげて泣きました。
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80
manga_review
白い犬さんのレビューが印象的で手を出してみました
最初が本当にとんでもな状況でびっくり
でもよくみると現代的にありがちな家族?
お父さんのキャラがいい
山本直樹は芸術的なエロを描く人ってきいてたけど
それだけじゃないんですね
良いもの読ませていただきました
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100
cmoa
この家族におこるいろいろな出来事は悲惨なのに、シュールな表現でさらっと描けていると思います。
内容が濃すぎてタイトルの「ありがとう」にいつたどり着くのかハラハラしましたが、最後にようやく納得
複雑だけど、しみじみと家族というものを考えさせられた気がします。
ネット上のイメージ
- 家族
- 幸せ
- 不良
- 感動
- 旅
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